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09月26日-03号

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  1. 奈良県議会 2022-09-26
    09月26日-03号


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    令和 4年  9月 定例会(第351回)令和4年9月         第351回定例奈良県議会会議録 第3号             令和4年9月26日(月曜日)午後1時1分開議   --------------------------------    出席議員(39名)      1番 小村尚己        2番 樋口清士      3番 植村佳史        4番 浦西敦史      5番 山中益敏        6番 亀甲義明      7番 小林 誠        8番 階戸幸一      9番 川口延良       10番 疋田進一     12番 乾 浩之       13番 大国正博     14番 太田 敦       15番 佐藤光紀     16番 清水 勉       17番 松本宗弘     18番 西川 均       19番 阪口 保     20番 井岡正徳       21番 田中惟允     22番 中野雅史       23番 山本進章     24番 奥山博康       25番 小林照代     26番 山村幸穂       27番 尾崎充典     28番 藤野良次       29番 和田恵治     30番 荻田義雄       31番  欠員     32番  欠員        33番 米田忠則     34番 出口武男       35番 岩田国夫     36番 小泉米造       37番 今井光子     38番 森山賀文       39番 田尻 匠     40番 粒谷友示       41番 秋本登志嗣     43番 川口正志    欠席議員(2名)     11番 池田慎久       42番 中村 昭   --------------------------------    議事日程 一、当局に対する代表質問   -------------------------------- ○副議長(西川均) これより本日の会議を開きます。 会議時間を午後6時まで延長します。   -------------------------------- ○副議長(西川均) この際、ご報告します。 地方自治法第121条の規定により、説明のため、議場に選挙管理委員会委員長の出席を求めました文書の写しを、お手元に配付しておりますので、ご了承願います。   -------------------------------- ○副議長(西川均) ただいまより当局に対する代表質問を行います。 順位に従い、27番尾崎充典議員に発言を許します。--27番尾崎充典議員。(拍手) ◆27番(尾崎充典) (登壇)皆様、こんにちは。香芝市選挙区選出の尾崎充典でございます。議長の許可をいただきましたので、新政ならを代表して質問させていただきます。 私の質問は、今回の代表質問をもって今期の最後となる予定です。この4年間に取り組んできた内容について、成果があったのか、課題が解決できたのかを一つずつ確認しながら、要望していきたいと思います。 まずは、大規模災害発生に備えた避難所の環境改善についてです。 私の質問後、新型コロナウイルス感染症対策を盛り込んだ女性視点の防災ハンドブックの改訂版が県から発行されるなど、改善に取り組んでいただいています。内容については、例えば避難所づくりのページで、性別によって洗濯物を干すスペースを分けるなど、性被害防止の視点が盛り込まれています。また、物資配給スペースには同性の担当者を配置することで、下着類などを探してもらいやすいようにするなど、きめ細かな視点がありました。子どもたちが読んでも自分で実践できるように、分かりやすく記載されています。 次に、大規模災害による電力不足への対策として、非常用電源の確保に関する質問をさせていただきましたが、取組は進んでいます。地域の避難所における非常用電源の整備状況については、2年前の質問当時は、平成30年度実績で48%程度だったのが、その2年後の令和2年度の実績では56%近くまで伸びています。また、県所管の特別養護老人ホーム介護老人保健施設も、質問当時から約1年後には20か所に増えたようです。県による地道な取組の成果だと思います。 質問当時、地元香芝市の避難所指定の学校における非常用電源の確保については、当時、14校中1校の7.1%で、県内12市でワースト2位でしたが、現在は100%となっています。香芝市のご尽力に改めて感謝を申し上げます。 今年3月に策定された、第4次奈良県エネルギービジョンにおける避難所の非常用電源整備目標は、2030年までに100%とするとされており、当時述べましたとおり、非常用電源の確保は県民の命に直結しますので、粘り強く推進していただきたいと思います。 また、今年3月に奈良トヨタグループと災害時における外部給電可能車両等の貸与に関する協定が締結され、電気自動車による避難所での電力供給にご協力いただくこととなりました。課題となっていました非常用発電設備の燃料である重油等の供給確保も含めて、いつ大規模災害が発生しても迅速に対応できるようにお願いしたいと思います。 その他にも取組を進めていただいているものがあります。市町村によって作成される避難所の設置運営マニュアルについても、当時、24市町村にとどまっていたものが32市町村へと増加しています。また、段ボールベッド簡易ベッド段ボール間仕切りなどの物資の在庫も県において順次確保されるようになりました。大規模災害の避難生活は数か月にわたり長期化することを前提に、市町村とともに、県民の命に関わる問題ですので、一層の備えに取り組んでいただきたいと思います。 次に、高齢者ドライバーの安全対策についてです。 これについては、国による安全運転サポート車の推奨や限定免許制度の普及啓発などに県も取り組んでいただいています。今でも機会があるたびに、質問の数か月前に起こった東京池袋の乗用車暴走母子死亡事故を思い出しますが、県でできることとして、当時提案しました超小型電気自動車の利用促進や、地域の公共交通の届かない隙間を埋めるとともに、SDGsの観点からもグリーンスローモビリティの活用などは、昨日、実証実験が行われております王寺町の美しヶ丘自治会に視察に行ってまいりました。行政が支援し、自治会が運営する形が見えてまいりました。日常生活に不便なく、安全性の高い車に乗り換えていただく機会の提供などに加えて、免許返納後の生活のための交通手段の確保は重要です。県独自の取組にも期待したいと思います。 次に、中央卸売市場における食品ロスへの取組について質問させていただきました。 これについては、SDGsの観点から非常に重要な課題ですので、積極的に推進していただきたいと思います。 次に、新型コロナウイルス感染症に関する誹謗中傷対策についてです。 これについては、質問当時から引き続き人権相談窓口などで対応されているとのことです。また、法的措置など専門的な対応が必要な場合には、奈良弁護士会などが加盟している、なら人権相談ネットワークを活用し、各相談機関が連携して対応していただいています。人権侵害は決して許されるものではありません。心のダメージは長く深く残ります。誹謗中傷対策について、人権先進県奈良の名に恥じない取組をお願いしておきます。 次に、2031年に県内で開催が予定されている第85回国民スポーツ大会・第30回全国障害者スポーツ大会についても質問させていただきました。 感染症に負けない、感染症では中止にならない準備をし、引き続きの取組をお願いしたいと思います。 次に、高校生の就職活動について質問させていただきました。 これについては、成人年齢が18歳に引き下げられることにも関連することから、深い議論をする必要性がありました。高等学校は、これまで以上に生徒の社会的・職業的自立に向け必要な基盤となる経験、判断能力、自主的・意欲的に取り組む姿勢を生徒自身が身につけられるように求められますが、これについて私は当時の質問で、大人を育てる教育が不可欠だと主張しました。情報収集力と実体験が何より必要だと思うからですが、一年でも早く生徒たちが多くの体験を積める機会をつくってほしいと思っていたところ、今年2月の新聞報道で、奈良県とその他1府県が一人一社制を見直すと報じていました。大変驚き、うれしかったのですが、大学生では当たり前である、自由に選択し、複数応募できる制度をぜひ一年でも早く実現していただきたいと思います。 次に、スポーツ大会の在り方と熱中症対策の取組についてです。 これについて県は奈良県高等学校体育連盟に働きかけられ、毎年8月から9月に実施されている県高等学校総合体育大会の開催を取りやめ、5月から6月に開催される総合体育大会予選との統合を実施されました。迅速な対応だと思います。加えて先般、日本高等学校野球連盟などは大会の運営委員会を開き、今後、気温が上昇する日中の試合を避けるため、朝と夕方に分けて行う二部制を含む新しい様々な対策について検討を始めることを決めました。熱中症は、脳などの中枢神経障害を起こすこともあります。重篤な後遺症が子どもたちに残ることのないよう、その他の各種大会についても早急な見直しを期待しています。 また、スポーツ指導の当たり前に警鐘を鳴らす質問をさせていただきました。 県においては、体罰・ハラスメント防止に関する研修を引き続き実施していただいていますが、質問で述べたように、欝症状からの自殺という悲劇はもう二度と起こってはなりません。体罰・しごきなどの身体的暴力はもとより、言葉の暴力は脳の聴覚野の毀損を招き、幻聴を経た後、欝症状を起こすというメカニズムがあります。体罰などは調教であり、指導ではないということを当時紹介させていただきましたが、子どもたちの指導に関わるすべての大人が、昭和のしごきなどの自身の間違った成功体験を捨て、科学的エビデンスに基づいた指導にあたっていただきたいと思います。 そして、県におかれましては、スポーツ指導者育成の施策は子どもの命に直結する取組であるとのご認識をいただき、今後も実効性の高い取組を継続いただきたいと思います。 次に、新型コロナウイルス感染症への取組について、保健所の人員確保などを質問させていただきました。 これについては、平時からの病床の確保と人員の余力が最も重要だと結論づけてよいと私は思いました。新型コロナウイルス感染症にまつわる国の動きは、その時々で変わっていきますが、医療現場、保健所機能の崩壊や人材不足の問題など、多くの指摘があったのは事実です。そして、質問で指摘したように、世界的な感染症の流行は数年ごとのスパンでやってくると想定すべきであることは変わりません。 さらに、報道によると、医療機関に病床確保が義務化され、違反した際に罰則を設ける感染症法改正案概要を政府が決定したそうです。改正案によると、都道府県と医療機関があらかじめ病床確保や発熱外来設置で協定を締結し、感染症拡大時に従わなければ、勧告、指示、公表を行うなど、医療機関に対する都道府県の権限が大きくなるようです。岸田内閣総理大臣は、平時から計画的に体制を整備することで有事に確実に医療が提供されると強調されたようですが、まさに私の質問の趣旨と一致した見解であり、この新たなスキームの実効性が県民の命に直結します。今後も知事のリーダーシップにより、県民に資する奈良県オリジナルの体制をお願いしておきます。 4年間の振り返りと要望の最後は、奈良県立大学工学系学部についてです。 「イノベーションを起こせる人材育成は、すべての県民の利益につながる可能性がある。イノベーション起こせる人材とは、独創的で、日本が長らく重視してきた組織風土を乱さない協調性とかけ離れた個性を持っているが、そのような新たな価値を創造できる人材を育てる風土を創り、その方々が大きく活躍できれば、他の産業の賃金上昇に強く影響する。」と述べたこの質問のテーマは、知事が力を入れられている施策に密接に関わる内容でした。 知事が先般講演されました「奈良新『都』づくり戦略をさらに前へ」という資料の中での表現を借りれば、奈良県を見違えるように一新させる起爆剤であり、大和平野中央田園都市構想の中の一つに奈良県立大学工学系学部が位置づけられています。先日の本会議で知事は、この工学部を独立した新しい大学にする構想を述べられています。大いに期待しています。 先進国の中で見劣りすると各方面から指摘がある日本のデジタル人材不足対策に国も取り組む中、奈良県独自の未来を創るチャレンジです。国境を越えたイノベーション人材の争奪戦は、この新産業革命が収束するまでは続くと予想されます。そのことを見越して、県におかれては、やると決めたら、そのレベルの人材を輩出できる意気込みでやるべきだと思います。非常に有効な予算になると思います。イノベーションの時代に必要な技術を持つためには、従来の教育の形を丸ごと変えることが求められるということを改めて申し上げ、県におかれては、大きな視座に立った発信力のある取組を期待したいと思います。 以上がこの4年間の振り返りと要望でした。 それでは、通告しています質問項目に移りたいと思います。 この2年間の質問で私には一貫したテーマがありました。世間の思い込みや当たり前を見直そうというテーマです。スポーツに関するあらゆることを抜本的に見直そうと述べさせていただいたり、イノベーション人材を育成するために教育風土を見直そうとも述べさせていただきました。 今回のテーマは、非行に走ってしまった子どもたちに向けられる世間の厳しい見方が本当に正しいのか、その当たり前の感覚に警鐘を鳴らす質問です。荒井知事が都道府県レベルで初めて実現された、出所者への更生支援の取組に、今回の新たな提案を加え、全国一、安心・安全で暮らしやすい奈良県にしたいという思いで質問させていただきます。 このテーマへの気づきを与えてくれたきっかけは2つあります。 1つは、さきに触れました荒井知事の取組、出所者への真摯な更生支援です。条例制定と財団法人設立の2本柱という本気の更生支援は全国初だと聞いています。知事のこの着想は、参議院議員時代の法務委員のときに刑務所を訪問され、出所者の方と触れ合ったことがきっかけだというエピソードがネットでも取り上げられており、まさに知事の魂が宿った取組だと大変共感を覚えるところです。 奈良新「都」づくり戦略2022にも知事の思いが表れています。令和2年度に出所者を雇用して以降も引き続き、県・財団法人・事業者の三位一体の取組が続けられています。県がこのように旗を振ることによって、安定的な支援になると期待しています。また、社会復帰促進就労支援シンポジウムで知事が述べられています更生のポイントとして、自分で働いて稼ぎ、生きがいを感じていただくことという見解がありましたが、実際にそうであろうと思います。 2つ目のきっかけは、地元の小学校の先生から勧めていただいたこの『ケーキの切れない非行少年たち』という書籍です。この本は大変話題を呼び、コミックにもなりましたので、既に読まれた方もいらっしゃると思いますが、非行少年がなぜ非行に走ることになるのかというテーマを通して、脳機能と犯罪の関係を解きほぐし、非行少年たちへの一方的な偏見に警鐘を鳴らす内容です。 パネル1、健常の人たちと見分けがつかない知的ハンデ症状の一例をご覧ください。 ここには、非行に走ってしまった子どもたちが実際にケーキを3等分した絵と簡単な図形を模写したときの絵を引用しています。健常の人たちと見分けがつけない知的ハンデがあると、図を模写することが相当難しく、また、短い文章ですら復唱できません。文中ではそのような様々な症状が数多く説明されています。そして、児童精神科医である著者は、それらの症状を持ってしまった子どもたちが犯罪の加害者になってしまうまでに、構造的な理由があることも説明されています。 医師として勤めていた精神科病院で行っていた医学的アプローチでは、この知的ハンデを解決できず、次の診療日までに同じ問題行動を起こしてしまう子どもたちを目の当たりにしていたそうです。そして、医学的な解決方法がないことに気づき、知的ハンデを持った非行少年が更生を目指す三重県の矯正施設、医療少年院に赴任するまでの思いも記されています。 著者の思いは、非行少年たちの多くが健常の人たちと見分けがつかない知的ハンデがあると世間に広めたいということ、そして、本来は守り育てなければならない子どもたちであるにもかかわらず、非行に走り、犯罪の加害者になってしまうことは、教育の敗北と言えると訴えられています。 ここからは、この子どもたちのハンデを知的障害や発達障害と切り分けて「見えないハンデ」と表現させていただきますが、この見えないハンデを持つ子どもたちの実態は苦しみの連続です。例えば、模写ができないと漢字を書き写すことができません。また、短い文章を復唱できないことは、聞く力がとても弱い特性から生じる、見逃してはならない兆候だそうです。また、力の加減がうまくできず、何度も物を壊したり、よく人にけがをさせたりするのも一つのサインで、発達性協調運動症というこの症状は小学生の5%程度もいるそうですが、体育の授業で隠すことができないため、いじめの対象になってしまうそうです。 あるいは、見えないものを想像する力がとても弱いと、人とのコミュニケーションが想像以上に難しいものとなります。また、計画が立てられないことも実行機能が弱いという症状だそうで、この機能が弱いと、後先を考えて行動することができず、例えば、異性に興味があるけれど同級生は怖いから幼い子を触るとか、ゲームが欲しかったから人を刺してお金を奪ったなどという行動を起こしてしまいます。世の中に、どうしてそんなばかなことをするのかという事件があったら、そこに後先を考える力の弱さが表れているということだそうです。 しかし、この子たちはIQテストで70以上あれば知的問題なしとなってしまいます。そうなってしまうと、それぞれの機能の弱さを回復する支援につなぐきっかけが失われてしまいます。見えないハンデを持った子どもたちの多くが、小学校の勉強の土台となる認知機能を回復できないまま勉強を強いられることになります。こうして小学校1年生からつまずき、周囲から頭が悪いとか粗暴だとか、あるいは根性が曲がっていると決めつけられてしまいます。 この子どもたちにまず必要なのは、勉強より先に、その土台となる認知機能を回復させるトレーニングなのですが、兆候が見逃され、支援につながれない日々を何年も送ることになります。そのうち学校や家庭に居場所がなくなり、中には非行に走ってしまう子もいるでしょう。これは認知機能の一部が弱いこと、一方的に否定され続けたことから自己肯定感が極めて薄くなり、誘われた内容が悪事を働くことだという判断ができず、頼まれたら断ることもできず、結果、犯罪の加害者になってしまうということだそうです。要は、気づかれない日々を長く過ごした結果、警察から逮捕されてしまうということです。この子どもたちが逮捕に至らないために何が足りなかったのかは極めて明白で、周囲が気づかなかったこと、兆候を見逃し続けたことにあります。 この本が警鐘を鳴らしていることとして、この見えないハンデがある子どもたちには複層的に障害が連鎖してしまうことが説明されています。 パネル2、見えないハンデを持った子どもたちに連鎖する障害(壁)をご覧ください。 著者は、見えないハンデ自体によるものを1次障害と定義づけしていますが、まず、この子どもたちは見えないハンデから、簡単な模写もできないなど一つ目の壁に遭遇します。ここで周囲から見えないハンデを理解されずに放置され、学校などで適切な支援が受けられない多くの子どもたちは、2次障害にぶつかってしまいます。この二つ目の壁は自力で乗り越えることができません。やがて非行化し、矯正施設に入っても、さらに理解されず、厳しい指導を受け、一層悪化する3次障害の壁に連鎖してしまいます。そして、最悪の展開では、社会に出てからもさらに理解されず、偏見もあり、仕事が続かず、再び非行に走るという4次障害にまで発展してしまうということです。 この負のスパイラルを防ぐためには、まず、世間ではほとんど知られていない見えないハンデを持つ子どもたちの兆候に気づくこと、つまり、勉強ができない、あるいは運動神経が悪いと簡単に片づけない意識を持つことが必要です。この子どもたちは多くのサインを出していますが、保護者や親類、教育現場やその他の身近な人に気づきがないために、学校の勉強を理解することができないまま学年だけがどんどん上がっていき、困難を極める状態に陥ります。見えないハンデの特徴を正しく理解し、漢字が書けなかったり、うまく集団行動ができなかったりする子どもを見つけたときに、先入観で決めつけないことで兆候の見逃しが防げます。 もう一つ大切なこととして、その子の能力の偏りに適したトレーニングを一日も早く始めることが重要とのことです。毎日5分間トレーニングを続けることで、小学校の勉強の土台となる認知機能の回復につながっていくそうです。医療少年院でも5年の年月をかけて開発されました。これが認知機能回復トレーニングを加味した実際のドリルですが、記憶力、注意力、集中力、処理するスピードの回復が期待できます。これらは勉強の土台の部分で、学校では教えてもらえないため、子どもたちそれぞれの弱い部分の回復に適したトレーニングを続けることが大切です。 最近、ようやく教員の負担軽減の試みが始められるようになりましたが、私もその趣旨には賛同しており、この毎日のトレーニングが教員の皆さんの新しい仕事だということではありません。一方、早期発見と系統的な支援の場という点では、子どもたちが多くの時間を過ごす学校以外によい選択肢がないという著者の主張も理解できます。虐待などの事情を抱えた子どもたちや、虐待によって障害やハンデを持ってしまった子どもたちには、もう学校しか認知機能回復トレーニングを行う機会がないのかもしれません。実施する前提として、教員にこれ以上の負担がかからない方法でやっていくのが現実的だと考えます。 このように、その子どもたちの弱い部分に沿ったトレーニングを毎日行うことが効果的ということですが、そのことで何よりもご家族が救われるという一面があります。犯罪の加害者になってしまうと、被害者への被害弁償がご家族にのしかかってきます。兆候に気づくことさえできれば、その状況に至ることを防げます。何より、日々の接し方や我が子への目線が根底から変わるため、その優しさだけでも非行に走る確率が減るかもしれません。 近所や親類から、愛情不足や親の育て方が悪いなどという偏見をなくすためには、この見えないハンデに対する理解を広げることが重要です。世の中に理解されていないことは、子ども本人、ご家族、どちらにとってもつらいのです。つまり、見えないハンデを持つ子どもたちに気づくことは、ご家族や親族の方にも学校現場にも、地域のすべての人にも求められることですが、まだまだ啓発が必要な状況だと思います。 一方で、見えないハンデ以外の知的障害は、世間において理解や認知が深まりつつあります。この背景の一つに、知的障害者を支援する団体の取組があります。地域の安全の核である警察に対して知的障害への理解を深めてもらおうとハンドブックを作成され、地域から様々な通報があったときにどう対処すればいいか、詳細に説明する活動が行われています。警察との勉強会も始められ、実際に、このハンドブックを読んでいたから自閉症の方への対応が落ち着いてできた事例もあるとのことです。警察におかれましては、非常に前向きな取組をされていると思います。 これら知的障害者に対する取組から取り残されているのが見えないハンデを持つ子どもたちであり、依然として世間に認知されず、支援につながれていない事実があります。周囲に気づかれず放置されてきた子どもたちに、誰でもいいから早期に気づき、問題が起こる前に適切な支援につなげるべきです。本来は支援されるべきこの子どもたちが、なぜ犯罪者と呼ばれることになってしまったのかが問題の本質ということであります。 また、兆候を見つけたときに駆け込める場所がないことも大きな課題です。発達障害の一つである学習障害や、今回取り上げた見えないハンデの症状だけで病院を受診することは極めてまれで、これは病気というより困り事であるために、そもそもどこかに受診しようという動機にならないことが理由です。 もう一つの課題として、知能検査だけではこの見えないハンデがつかめないという点が挙げられます。発達相談や医療機関の知能検査では子どもたちの能力の一部しか見えず、絵を模写する再現力や、答えのない問題に取り組ませて思考の柔軟性をはかる検査などがないために、見えないハンデの特徴が見落とされるそうです。 このように、見えないハンデを持つ子どもたちが支援につながるきっかけや、窓口がないことが大きな課題です。社会の課題を解決する仕組みがない分野には政治の力が一番必要とされていますので、知事におかれましては、出所者更生支援を英断されたように、見えないハンデを持つ子どもたちへの支援の仕組みについての英断をいただきたいと思います。まずは兆候に気づけるように、県全体で啓発していく、そして、県においてサポート体制を構築し、継続することが大変重要だと考えます。 そこで、知事に質問させていただきます。 認知機能の一部が弱く、図形を写すことができない、短い文章すら復唱できないなど、見えないハンデを持つにもかかわらず見過ごされてきた結果、非行を犯し、警察に逮捕され、司法の手に委ねられてしまう子どもたちがいるという不条理な現実があります。見えないハンデを持つ子どもたちの兆候を見逃さないことが重要です。見えないハンデを持った子どもたちを必要な支援につなげられるように、県全体に啓発を行うとともに、県において新たな支援の仕組みを構築し、継続して取り組むことが重要と考えますが、知事のご所見をお伺いします。 次に、教育長に質問させていただきます。 一日も早く見えないハンデに気づき、必要な支援を行うためには、見えないハンデを持つ子どもたちが毎日多くの時間を過ごす学校現場においても、気づきの風土をつくることが重要です。見えないハンデを持つ子どもたちに必要な心理面・身体面の支援、すなわちその子の認知機能の部分的な弱さや偏りを回復させるトレーニングを始めることが大変重要であり、毎日続けることで、小学校の勉強の土台となる認知機能の向上につながると考えます。 見えないハンデを持つ子どもたちがいることを教職員がしっかりと認識し、支援の手を差し伸べられるように、専門的知見を持った外部人材を活用した継続的な支援の仕組みをつくるなど、学校教育を充実させることが重要と考えますが、教育長のご所見をお伺いします。 最後に、警察本部長に質問させていただきます。 県警察では、業務を行う上で青少年と接する機会が多いため、今回紹介した見えないハンデを持つ子どもたちもいるという視点を持って適切に対応いただくことが重要だと考えますが、警察本部長のご所見をお伺いします。 以上で壇上の質問を終わります。(拍手) ○副議長(西川均) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) (登壇)27番尾崎議員のご質問がございました。お答え申し上げます。 私に対するご質問は、特別な配慮や支援が必要な、いわゆる見えないハンデを持った子どもたちへの支援についてでございます。 我が国の障害者への支援につきましては、知的障害、また発達障害を含め、障害の認定がされてから支援が実行されることになっております。認定される前の課題に目を向けられたのは尾崎議員のご炯眼だと思います。特別な配慮や支援が必要にもかかわらず、周囲に理解されないまま見過ごされている、尾崎議員お述べの見えないハンデにより、生きづらさを抱かれた子どもたちや、ご家族の困り事に対応していくのは、大変重要な課題だと思っております。 本県では福祉の条例をつくりました。困っている人を誰一人排除せず助けるという福祉の奈良モデルの理念を持った条例でございます。困り事を包括的に把握し、適切な支援につなげる仕組みの構築を進めているところでございます。実際は困り事があるにもかかわらず、外にも表されない静かな方もおられることが分かってまいりました。尾崎議員お述べの見逃さない、つなげるといったアプローチが大事なことが、このような条例の執行の中で見えてきたところでございます。 このような中で、障害のある人と支援者とのつながりは、就職時など人生の節目で途切れてしまうことが多いということも分かってまいりました。発見するということとつなげる、継続する、これも尾崎議員がお述べになっているキーワードであろうと思います。そのため、障害のある人のライフステージを通じて、寄り添い、伴走する支援の仕組みづくりが大事だと思っております。現在、関係条例の検討など、準備を進めているところでございます。 こうした障害者に関わる取組の中で、生きづらさを抱かれた子どもたちやご家族に対しても寄り添い、継続して伴走できる支援の仕組みの構築が大事だと思っております。こうした仕組みがあれば、生きづらさを抱かれた子どもたちも、地域社会の一員として他の人と関わりながら、人生を自分らしく豊かに安心して生きることができるようになると思います。このことが、ひいては非行などを未然に防ぐことにもつながると考えております。支援の仕組みを実効性あるようにしていくのが必要でございます。尾崎議員お述べの兆候を見逃さず、必要な支援につなげる、継続して取り組むことは、その中でとても大切なことだと思います。 そのような中で、1つ目の兆候の気づきという課題でございますが、県などが障害の理解促進に向けて展開しております、まほろば「あいサポート運動」の内容にさらに工夫・充実を加えて、子育て中の親をはじめ、県民の方々の理解を促進し、兆候にいち早く気づいてもらえるよう啓発に努めてまいりたいと思っております。特に、子どもたちと接する機会の多い教職員の方々や就学前教育の関係者などに理解を深めていただけるよう、重点的に働きかけていきたいと思っております。 2つ目でございますけれども、必要な支援につなげるということと継続するということでございます。 支援スキルやトレーニング方法については、研究・実践されている専門家などの知見やご支援もいただきながら、福祉の奈良モデルや障害のある人等への伴走型支援体制の構築の取組を進めてまいりましたが、その中で、市町村をはじめ、地域の相談窓口、民生・児童委員等の関係者と連携して解決策を協議し、寄り添い、必要な支援を届けることができる仕組みが大事だということが分かってまいりました。 最初の気づきにつきましては、前方、フロントの仕事であり、支援へのつなぎ、継続は後方、バックヤードの仕事でございますが、両方相まって、困っている人を誰一人排除しないという奈良県の条例につながる考え方だと思っております。このような取組を通じまして、実行しながら、誰もが社会の一員として包摂される、日本一福祉の進んだ奈良県づくりを進めてまいりたいと思っております。そのような中で、必要があれば、新しい障害者福祉の条例も検討してまいりたいと思っております。 私に対する質問の答えは以上になります。ありがとうございました。 ○副議長(西川均) 吉田教育長。 ◎教育長(吉田育弘) (登壇)27番尾崎議員のご質問にお答えいたします。 私には、見えないハンデを持つ子どもを教職員が認識し、学校教育で支援の仕組みをつくるべきとのお尋ねでございます。 尾崎議員お述べの見えないハンデを持つ子どもとは、発達障害の可能性のある、いわゆるグレーゾーンと呼ばれている子どもであると認識しております。発達障害の特性が見られるものの日常での困難が少ないと思われがちで、相談先がない、理解を得られにくいといった特有の困り事がございます。 このような子どもへの支援の手を差し伸べるには、まず見えるものからはっきり見る、すなわち、通常学級の教員が発達障害の特性の多様性を正しく認識したり理解する必要があると考えております。そのため、県教育委員会では、通常学級の教員に特別支援学校教諭免許状の取得を推進する予定でございます。具体的に申し上げますと、来年度から認定講習を2科目ずつ開講し、3年間で特別支援学校教諭免許状を取得できるよう制度化し、発達障害など特別支援教育に対する専門性を高めてまいります。 また、今後、公立小中学校の教員が採用後10年以内に特別支援学校教諭免許状を取得するとともに、特別支援学級を主担当することや特別支援学校との人事交流を推進することで、特別支援教育に対する実践力も身につけられると考えております。 発達障害等の特性は、児童生徒一人ひとり異なり、教職員が実態を把握し、組織的に指導や支援につなげることが求められております。このため、公立小中学校の校内体制において中心的な役割を果たす特別支援教育のコーディネーターをすべての学校に配置し、医療や福祉などの外部機関と連絡調整するとともに、必要に応じて関係機関と連携しながら支援を行っております。 また、県教育委員会では、コーディネーターが各学校で円滑に役割を果たすことができるよう、大学院等で学ぶなど専門性の高い教員2名を特別支援教育巡回アドバイザーに任命し、指導主事とともに、グレーゾーンの子どもも含めて、学校の課題に応じて訪問、指導や助言を行っているところでございます。 見えない子どものハンデが見えるようになるためには、心で見なければ物事はよく見えない、これは『星の王子さま』の作者の言葉でございますけれども、教員が特別支援教育に学ぶ心を持ち続けることが必要でございます。今後も、特別支援教育の視点で一人ひとりの子どもを見る学校文化の醸成に努力してまいります。以上でございます。どうもありがとうございました。 ○副議長(西川均) 安枝警察本部長。 ◎警察本部長(安枝亮) (登壇)27番尾崎議員から私には、県警察として見えないハンデを持つ子どもたちがいるという視点を持って適切に対応することにつきましてのご質問をいただきました。お答え申し上げます。 県警察におきましては、家庭や学校などの周囲の環境や自身に問題を抱えた少年に対しまして、少年の心理、生理その他の特性に関して理解を持ち、健全な状態への立ち直りを支援する諸活動を関係機関や団体と連携して行っております。 加えまして、尾崎議員お述べの見えないハンデを含めまして、様々な障害に関する知識や障害を持った方々への理解を深め、適切に対応するために、警察学校での授業や警察署で行う研修等に障害者の自立を支援する団体等から講師をお招きするなどの取組も推進しているところでございます。 今後も、こうした取組を積極的に実施することによりまして、見えないハンデを持った青少年を含めまして、様々な障害をお持ちの方々の特性に配慮した職務執行に努めてまいる所存でございます。以上でございます。 ○副議長(西川均) 27番尾崎充典議員。 ◆27番(尾崎充典) それぞれ前向きなご答弁をいただきました。ありがとうございます。 知事には要望しておきたいと思います。 8月の報道で、ようやく国も再犯防止推進計画案を作成しました。知事の取組に国が追いついてきたのかと喜んでいるところでございます。知事が先ほど述べられましたように、就学前教育の現場担当者の方が気づいてくれたらと言っていただきました。気づきは早ければ早いほどいいと思います。毎日通う保育所や、あるいは学童保育での実施も効果的ではないかと思います。 出所者への更生支援の取組に今回の新たな私の提案を加え、奈良県がこの分野でも国をリードしていく、そんな奈良県であっていただきたい。知事のリーダーシップを期待したいと思います。 警察本部長にも要望しておきたいと思います。 例えば、万引きで摘発された。その子どもたちに、もう二度とこんなことをするなよと愛情を込めてお伝えしても、それでも見えないハンデを持つ子どもの一部は、その意味を正確に理解できていないことがあるようです。優しい警察官の笑顔が見たくて、その方が好きなので、その人を喜ばせたいから、もう二度としませんという答えをします。しかし、あまり理解していないので、残念ながらすぐにまた万引きをやってしまう。そういった子がいたときに、裏切られたという怒りの気持ちも分かるのですが、そうではなくて、福祉につながる気づきを、しっかりとやっていただけたらと思うところです。 教育長には再質問をさせていただきたいと思います。 教職員の皆さんが一人ひとりの子どもに向き合う、あるいは子どもたちのサインに気づいてもらうこと、さらには、5分間の時間を捻出してもらうことには、やはり圧倒的なマンパワーが必要だと思います。報道によりますと、教育の現場における慢性的な人員不足が幾度となく報道されていますが、現在の県内小学校の教員不足についてどのように認識し、県として教員不足をどのように解消されようとしているのか、お答えください。 ○副議長(西川均) 吉田教育長。 ◎教育長(吉田育弘) 確かに、尾崎議員おっしゃるように、全国的に小学校の講師が不足いたしております。現在、奈良県でも、担任は配置しておりますけれども、少人数指導の加配等で未配置となっておりまして、そんな場合には教頭先生や、あるいは専科教員などが授業を受け持つなど、校内で工夫していただいているところでございます。 なぜ小学校の講師が足りないかという一番大きな原因でありますけれども、これは小学校の教員の再任用率が、奈良県は非常に低いということが主だった原因になっております。全国で申し上げますと、令和3年度にすべての校種で定年退職者の再任用率は64%でございます。ただ、本県の場合には、令和4年度で直近のデータで申し上げますと、小学校の再任用率が22.2%、それから中学校でも53.8%と、全国平均には至っていないということでございます。 小学校の先生が担任を持ったり、プール指導や外遊びをする。定年を迎えて、その後もそういった業務に携わるということは非常に激務であるということも聞いておりまして、例えば、週3日の再任用などで小学校のベテランの先生に副担任として入ってもらう、特に小学校1年生に入ってもらう、そんな制度を今、導入に向けて検討しているところでございます。 それから、本県で講師をしていただくためには、講師をやはり正しく評価してあげるという必要があると思っておりまして、定数内で3年連続、教諭と同じ仕事をしていただいている講師には、採用試験では一次免除をしようということも打ち出させていただいたところでございます。 それから、採用に関しては、今年度20名を増やしまして、来年度110名から130人の採用となっていることも講師不足の解消につながるだろうと思っております。以上でございます。 ○副議長(西川均) 27番尾崎充典議員。 ◆27番(尾崎充典) ご答弁ありがとうございました。 まさに現場がしっかりと人員配置ができている、まずその状況をつくってもらわなければいけないというのは、本当に共有できているのかと思いました。ぜひとも解決していただきたい。 最後になりますけれども、今回の質問によって、見えないハンデを持った子どもたちへの世間の、世の中の見方が変わり、その子どもたちを取り巻く不条理が一つでも消え、支援につながっていけることをお願いし、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。 ○副議長(西川均) しばらく休憩します。 △午後1時52分休憩    -------------------------------- △午後2時9分再開
    ○議長(岩田国夫) 休憩前に引き続き会議を開きます。 次に、37番今井光子議員に発言を許します。--37番今井光子議員。(拍手) ◆37番(今井光子) (登壇)議長のお許しをいただきまして、質問させていただきます。皆さん、こんにちは。日本共産党の今井光子です。日本共産党を代表して質問させていただきます。 身近に迫った新型コロナウイルスへの感染、相次ぐ物価高や年金引下げ、20年も上がらない賃金、社会保障費の負担増など、暮らしが本当に大変です。 私が医療ソーシャルワーカーをしていた28歳のときに、中曽根内閣が日本列島不沈空母と言い出して軍事費を大幅に増やしました。それまで無料だった老人医療費が有料になり、国民健康保険料も、保育料も毎年のように上がったときに、これを黙って見ていたら、この国は戦争の道に進んでしまう、子どもたちに平和な社会を残したい、その思いで県議会議員に立候補したのが、政治を志したきっかけでした。 すべての人の命は平等をモットーに、命と暮らし、平和と自由と民主主義を守るために全力を尽くしてきました。何度も失敗を繰り返し、それでも続けてこられたのは、本当にたくさんの方々のご支援があったからこそと感謝に堪えません。改めてお礼を申し上げます。 2022年はロシアのウクライナ侵略、コロナ禍ははや3年、安倍元内閣総理大臣襲撃と、歴史を振り返ったとき、今年はターニングポイントになると思われます。物価高騰は暮らしも経済も直撃し、県民の暮らしは本当に大変です。 参議院議員選挙が終わり、改憲勢力が国会で3分の2を占めたと思った矢先、僅か2か月で日本の政治が激変しました。安倍元内閣総理大臣の襲撃事件によって、これまで固く閉ざされてきたパンドラの箱が開けられ、これまで隠れてきた統一教会と自由民主党政治との癒着が次々と明らかになり、岸田政権の支持率が共同通信の世論調査で29%と急落しています。 9月11日に投票が行われました沖縄県知事選挙は、現職で辺野古の基地建設反対をぶれずに通した玉城デニー氏が再選しました。同時に戦われた市町村議選では、共産党が14市町村で18人全員が当選しました。野党が力を合わせれば政治は大きく変えられます。来年は統一地方選挙です。県民こそ主人公の奈良県になるように、日本共産党県議団、力いっぱい頑張ります、県民の命と暮らしを守る立場で質問します。 最初に、旧統一協会の問題について、知事に伺います。 7月8日、参議院議員選挙終盤に大和西大寺駅前で起きた山上容疑者による安倍元内閣総理大臣の襲撃事件は、決して許されるものではありません。容疑者は、世界平和統一家庭連合、旧統一教会によって家族が多額の寄附をして破産させられたと恨みを持ち、旧統一教会とつながっていると考えた安倍元内閣総理大臣への犯行を計画したと言われています。ここに至るまでに、どこかで誰かが相談に乗ることができていれば、事件は防げたのではないかと思うと大変残念です。 この事件によって連日、奈良が世界のニュースになってしまいました。これを払拭するためには、起きた事件に真摯に向き合うこと、1つ、被害者、信者2世や祝福2世などを救済し、何より奈良県から第2、第3の山上容疑者を生み出さないように取り組むこと、2つ、政治家との癒着の全容解明、3つ、教団による政策への不当な介入などがなかったか検証することが必要です。 旧統一教会関連団体のイベントなどに国会議員や地方議員が参加し、地方自治体が後援名義を与えることが問題になっています。奈良県でも、旧統一教会関連のイベントであるピースロードに対し、過去3回、知事からのお祝いメッセージを担当職員が代読したと報道されています。旧統一教会は霊感商法や高額献金強要を繰り返してきた反社会的カルト集団であり、その関連団体の活動に地方議員が参加・関与することは、教団の活動にお墨つきを与え、被害を拡大することにつながります。 そこで、知事に伺います。 奈良県と世界平和統一家庭連合、旧統一教会は、これまでどのような関わりがあったのでしょうか。また、旧統一教会との関係は今後一切断ち切るべきと思いますが、知事の考えをお聞かせください。 全国霊感商法対策弁護士連絡会は教団に対し、被害信者への謝罪と損害賠償を求めた上で、宗教法人法に基づく解散命令の請求を行政に求める声明を発表いたしました。代表世話人の山口弁護士は、統一教会は単なる宗教団体ではない、資金づくりを担う事業部門、各国の政権にアプローチする政治部門、新聞などで主張を発信する部門を備えた複合体で、最大の関心は日本の信者からの際限のない献金と人材を韓国側の教団組織にささげることと述べ、日本の政治家はこのような組織と絶縁し、被害の拡大を止めてほしいと述べています。 2009年、印鑑販売会社による物販伝道活動に東京地方裁判所で有罪判決が出た後も被害が相次ぎ、安倍元内閣総理大臣襲撃事件以後、相談が急増していると言われています。信者2世は、過去から遡れば、全国に数十万人いると言われております。これらの苦難に寄り添って相談に乗る窓口を奈良県でも設置するよう要望いたします。 次に、安倍元内閣総理大臣の国葬について、知事に伺います。 岸田内閣総理大臣は、明日9月27日、日本武道館で安倍元内閣総理大臣の国葬を行うと閣議決定いたしました。コロナの僅かな支援金にまで税金をかけて、国葬に17億円もかけるのは許せないとの怒りが全国に燎原の火のように広がっています。国葬中止を求める40万筆以上のネット署名が内閣府に提出されました。 岸田首相は国葬とした理由を4点挙げて説明しました。1、憲政史上最長の在任期間であったこと、2、内政・外政で大きな業績を残されたこと、3、国際社会からも多くの弔意が示されていること、4、選挙期間中に突然の蛮行により非業の死を遂げられたことですが、国民は国葬に納得していません。政権支持率は29%にまで下がっています。 安倍元内閣総理大臣の功績は、憲法違反の安保法制の強行やモリカケ問題、桜を見る会、日本経済に長期停滞をもたらしたアベノミクスなど問題が多すぎます。統一教会に祝福メッセージを送った安倍元内閣総理大臣の国葬は、統一教会を励ますことになります。 日本共産党県議団は9月9日、安倍元内閣総理大臣の国葬の中止を国に求める要望書を知事に提出いたしました。国葬は憲法14条が規定する法の下の平等や、憲法19条が保障する思想及び良心の自由に反するものです。岸田内閣総理大臣は、国葬は故人に対する弔意と敬意を国全体で表す儀式と述べ、国葬当日は葬儀委員長として、各府省に対し、半旗を掲揚し、葬儀中の一定時間に黙祷することとしておりますが、弔意を職員に強要することは許されません。 奈良県では9月15日に、国葬に公費で参加することの中止を求める住民監査請求が65名の県民によって提出されました。また、22日は、安倍元首相の国葬反対県実行委員会から国葬の参加中止の要請文が提出されたと報道されております。奈良新聞によれば、国葬に参加する県市長会長の並河天理市長と、町村会長の車谷天川村長は、私費で参列されるとのことです。 知事は8月24日の記者会見で、案内があれば公費で公務として出席する、国葬なら県では半旗にしますと表明されました。岸田内閣総理大臣は、黙祷や弔旗の掲揚といった弔意表明について、国民に強制すると誤解を招くことがないように閣議了解は行わず、地方公共団体や教育委員会などに対する弔意表明の協力の要望も行う予定はないと説明しています。 そこで、知事に伺います。 安倍元内閣総理大臣の国葬に知事が参加されるにあたり、公費は支出するべきではないと考えますが、いかがでしょうか。また、公務員に弔意を強要することにつながる庁舎への半旗の掲揚は中止するべきと考えますが、いかがでしょうか。 次に、奈良新「都」づくり戦略について、知事に伺います。 知事は2022年度の所信表明で、リニア中央新幹線の全線開業と奈良市附近駅の設置が15年後に迫ってきたとして、リニア中央新幹線の奈良市附近駅の早期確定、2,000メートル滑走路を想定した大規模広域防災拠点の整備、リニア中央新幹線奈良市附近駅から五條・和歌山を経由する関西国際空港接続線の具体化の三つのプロジェクトを一体的に進めていくと述べ、リニア中央新幹線開業に併せ、大和平野デジタル田園都市構想、京奈和自動車道の全線開通の取組が奈良県発展の屋台骨になると位置づけています。 この構想の大前提には、リニア中央新幹線が15年後、2037年に東京・大阪間を開通するということがあり、それが具体化されていなければ、奈良新「都」づくり戦略は単なる知事の夢でしかなく、多額の税金や人を投入して時間を使ってやることではありません。 リニア中央新幹線は東京・大阪間を67分で移動する、人口7,000万人の大交流都市圏を実現する構想です。2014年10月にJR東海が品川・名古屋間の工事実施計画の認可を受け、工事が進められていますが、重大な問題点が次々と明らかになり、事業の抜本的見直しが求められる事態になっています。 当初7,000万人としていた交流圏人口は、急激な人口減少が進み6,000万人になり、加えて、コロナ禍でリモート会議が定着するなどの生活パターンの変化、新幹線の数倍の電力が必要で気候危機に逆行、工事費は総額9.03兆円、東京・名古屋間で1.5兆円もの工事費が膨張し、JR東海の豊かな財政力が2021年3月決算では赤字に転落など、リニア中央新幹線事業の必要性や継続が問われる事態に直面しています。 大井川減水問題で南アルプストンネル静岡工区の工事が未着工になっており、相模原の車両基地は造成の着手すらされていません。車両基地が整備されなければ営業はできません。このような状況で、2027年の東京・名古屋間の開通は到底不可能と考えます。奈良市附近駅が含まれる名古屋・大阪間のルートは、まだ工事実施計画の認可がされていないため、具体的なルートや奈良市附近駅の場所など、何も詳細が決定されていません。 そこで、知事に伺います。 奈良新「都」づくり戦略は、15年後の2037年にリニア中央新幹線が全線開業することを前提としていますが、リニア中央新幹線の開業に向けた現在の見通しは立っていないのではないでしょうか。 8月3日、日本共産党県議団は、災害時の広域防災拠点に位置づけられている南紀白浜空港を視察しました。建設当時は県営で出発しましたが、赤字の解消や航空ネットワークの拡充のため、今は民営化しています。維持経費は毎年5億円、空港収益は2億円、毎年3億円の経費を和歌山県が補填しています。1日3便が飛ぶ空港ですら、これだけの維持経費がかかります。奈良県で計画している2,000メートル級滑走路を含む大規模広域防災拠点では、滑走路をふだんどのように利用するのか不明で、維持経費もどれだけかさむのか分かりません。 和歌山県の防災計画では、海沿いの地域は水害発生区域、橋本市から北部は土砂災害危険区域に指定されていて、橋本市と隣接する五條市は土砂災害危険区域になりますが、そのような地域にわざわざ防災拠点を造ることは理解できません。 知事が就任されてから大型公共施設が次々建設されました。奈良県コンベンションセンター228億円、NAFICセミナーハウス25億円、奈良公園バスターミナル45億円、なら歴史芸術文化村100億円、平城京朱雀門ひろば80億円など巨額が投じられましたが、県民の願いが実ったというより知事の思いつきが多く、完成した施設が有効活用されているとは思えません。 一方で、公共施設の中でも、地域や県民の安全を守る身近な存在である消防士を育成・訓練する消防学校は老朽化が進んでおり、移転や建替等の抜本的な対策が必要であるにもかかわらずに、いまだ整備方針が決まっていない状況です。 新型コロナウイルス感染症の影響による人手不足などに苦しむ医療機関や福祉施設への支援、原油や電力の高騰で苦しむ県民や事業者への支援など、県民の安全や生活を守るための施策は、もはや待ったなしです。 そこで、知事に伺います。 奈良新「都」づくり戦略で知事が掲げている不要不急で巨額の大型プロジェクトより、県民の身近な生活を守るための施策に全力で取り組んでいくべきと考えますが、知事の所見を伺います。 次に、新西和医療センターの整備について、知事に伺います。 西和医療センターの老朽化が進み、現在、建替の計画が進んでいます。6月議会で知事は、現地建替と王寺駅南側への移転建替の2つを検討し、王寺駅南側への移転建替が望ましいと答弁されました。担当課からは、現在、整備基本計画を策定中と聞いています。地元王寺町や周辺自治体からも、王寺駅前への移転建替を望む声が強いと聞いています。 ご存じのように、昭和57年の台風では、大和川の増水により支流の葛下川が逆流・氾濫し、王寺駅周辺など市街地のほとんどが浸水しました。町内の被害は、家屋全壊66戸、半壊174戸、床上浸水1,445戸、床下浸水272戸、災害救助法が適用される甚大な被害を被りました。国や県、町は、葛下川の拡幅や堤防の改修、雨水貯留浸透施設や貯留池、内水の排水ポンプなどを整備し、水害の備えをしておりますが、その後の台風では藤井地区で溢水するなどがあり、大和川流域の遊水地の整備を共産党地方議員団で要望を続けてきました。いまだに用地買収もできていない区域がある一方、大和川流域での開発は進んでいます。 王寺駅前地域は大和川洪水浸水想定区域に指定され、ハザードマップでは5メートルから10メートルの浸水想定区域になっており、浸水時の水がなくなるのに1日から3日間かかるとされています。 昭和57年当時と比べても、降水量は確実に増えています。全国では災害拠点病院の4割が、想定される最大規模の降雨で浸水のおそれがあることが読売新聞の調査で明らかになっています。このうち、床上浸水以上の浸水が想定される施設を対象にしたアンケートでは、回答した5割以上の施設で、病院機能が維持できなくなると答えています。西和医療センターでも浸水対策について検討されているようですが、災害時に鉄道も道路も浸水した場合、患者の搬送ができず、災害拠点病院としての機能が果たせません。災害拠点病院としての西和医療センターを大和川洪水浸水想定区域に建設することは考えられません。 今般の議案で提出された補正予算案では、新西和医療センター整備調査事業として、JR王寺駅南側地区の用地測量、補償調査に係る経費やアクセス機能確保に関する基礎調査を実施する経費が計上されております。西和医療センターの建替については、もう王寺駅南側への移転で決定したのでしょうか。西和医療センターのように、人々の日常生活に密着した施設の整備にあたりましては、県民から幅広く意見を聞く機会を設けるべきだと考えますが、住民のパブリックコメントは実施しないのでしょうか。今後の動きが気になります。 そこで、知事に伺います。 新西和医療センターの整備について、今年度から策定している整備基本計画はどのような内容になるのでしょうか。また、計画の策定にあたっては、パブリックコメントなど住民の意見を伺うことも大切だと思いますが、いかがでしょうか。 次に、高齢者施設における新型コロナウイルス感染症のクラスター対策について、医療・介護保険局長に伺います。 新型コロナウイルス感染症の第7波が始まったのは今年の7月中旬からです。新規感染者数は多いときには連日20万人を超え、死亡者数も過去最多を更新しました。これまで奈良県の感染者数は大阪府の10分の1と言われてきましたが、それを超える患者数が発生し、県内では死者数累計が9月7日現在で500人を超え、感染者累計は20万人を超えました。発熱外来がパンク状態になり、自主的な抗原検査で陽性となっても受診できず、健康観察も行われない事態が多発していました。医療や保健所が崩壊しかねず、国民の命を守る対策が急務です。 奈良県は発生当初、コロナにかかった人や感染の心配のある人は病院や療養施設に入ってもらうとし、無症状でも高齢者や基礎疾患がある人は原則入院し、経過観察する方針を掲げていました。しかし、療養施設や医療機関が逼迫したことから、県は4月19日、新型コロナウイルス感染症の第7波に備え、感染者を症状や基礎疾患の状況で療養先を決めるトリアージの基準を独自に作成しました。そこでは高齢者や基礎疾患のある人でもトリアージの基準に当てはまらない場合は、自宅や高齢者施設での経過観察に切り替えるとしています。その結果、病院や療養施設の逼迫は回避されましたが、在宅療養者が5万人を超えました。 奈良県では病院や高齢者施設を中心にクラスターが連日発生し、死亡者も増えています。令和2年7月に奈良県で初めてのクラスターが発生してから令和4年7月までの2年間で299件のクラスターが出ています。一方、第7波が発生した今年の7月以後、9月9日までの約2か月で、これまでの2年間に匹敵する224件のクラスターが発生しています。内訳は、医療機関が80件、高齢者・障害者施設が136件、学校2件となっていて、そのほとんどが、定期検査や入院・入所時の検査が適切に実施されていれば防ぐことができた案件ではないでしょうか。 県で現在取り組んでいるクラスター対策は、各施設に新型コロナ感染対策責任者を選任し、感染を広げない対策を徹底させるというものですが、それでもクラスターが収まらない現状に対して、さらに踏み込んだ具体的な対策が必要ではないでしょうか。 日本共産党はかねてから、発病すれば命の危険が高い施設では、定期的に職員や入所者を対象としたPCR検査を実施するべきだと主張してきました。他府県の高齢者施設の例では、大阪府や京都府では少なくとも2週間に1回、施設職員の定期的な一斉PCR検査が実施されています。共産党県議団として、6月に政府交渉に行き、国に検査体制の支援を求めましたところ、コロナ対策のために都道府県に交付している新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金が使えるので、地方単独事業として都道府県で実施するようにとの回答をいただきました。国から県に交付された地方創生臨時交付金のうち、地方単独事業に充当できる分として、令和4年度ではまだ70億円以上残余があると聞いています。 そこで、医療・介護保険局長に伺います。 高齢者施設の新型コロナウイルス感染症のクラスターの発生件数は依然として高い水準にあるため、施設職員に対する一斉PCR検査をより頻回に実施するなど、さらなるクラスター対策が必要と考えますが、今後どのように取り組まれていくのか、お伺いいたします。 最後に、平群町のソーラーパネルの開発計画について、水循環・森林・景観環境部長に伺います。 平群町櫟原地方に、甲子園球場12個分、48ヘクタールもの土地に5万2,758枚もの太陽光パネルを設置する工事が現在進められています。信貴山のすぐ横で風光明媚な山林が伐採されています。開発予定地の麓には2,000世帯5,000人が住む住宅地があり、雨が降れば泥水が流れ出すなど、住民の不安が募り、台風シーズンを迎えて、一日も早い応急防災工事が望まれています。 昨年、開発計画の申請書類の水路や勾配や流速の数値に誤りがあったことが発覚しました。一旦開発を認めた県は、事業者に工事の停止を求めました。しかし、建設予定地では大規模な山林の伐採が進んでいたため、応急防災工事として調整池の設置などを事業者に求めました。 先般の6月議会で太田敦議員も質問しましたが、平群町のメガソーラーの応急防災工事をめぐっては、2月の県議会では梅雨時期をめどと言われていたものが、6月議会では9月末までと延期・修正されました。しかし、既に9月半ばですが、調整池の工事は完了しておりません。 8月14日に開かれた業者による住民説明会では、住民が一番望んでいる調整池に関する説明が不十分で、その理由として業者は、県と協議中であるためと報告しています。住民は、繰り返し文書で、なぜ調整池の工事が遅れているのか、その理由は何か県に質問してきましたが、県からは全く返事がありません。知事は9月7日の定例記者会見で、住民が不信感を募らせている、県から直接説明したいと述べておられます。 そこで、水循環・森林・景観環境部長に伺います。 平群町のメガソーラー開発計画の応急防災工事について、当初のスケジュールどおり進捗しておらず、住民からは土砂災害に対する不安の声が上がっていますが、応急防災工事の現在の進捗状況と今後の見通しについてお伺いいたします。 第1問はこれで終わります。答弁によりましては、自席から再質問させていただきます。ご清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(岩田国夫) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) (登壇)37番今井議員のご質問がございました。お答え申し上げます。 最初のご質問は、県と旧統一協会の関わりでございます。 旧統一教会に関する一連の報道などを受けまして、旧統一教会の関連と判明している団体が開催する行事への職員の出席、祝辞、後援名義、補助金交付、また、寄附の受領などがないか確認いたしました。 その結果、今井議員お述べでもありましたが、令和元年から令和3年に開催されました自転車イベント、ピースロード・イン・奈良の開会セレモニーに県の課長が計3回出席し、その際、知事名の挨拶文を代読いたしました。また、県が主催する大和川一斉清掃に、旧統一教会関連団体がボランティアとして参加していたことが確認されています。その他の関わりについては、確認されなかったと報告を受けております。 今後、各種行事に関して、職員の出席、祝辞、後援名義の依頼や補助金の交付、寄附の受領などの要請があった際には、社会的に問題が指摘される団体からのものではないか、しっかりと情報収集して、より慎重に対応するように指示いたしました。これからも、当該団体も含め、社会的に問題のある団体について、県が誤解を招く対応をしないように徹底してまいりたいと思います。 安倍元内閣総理大臣の国葬についてのご質問がございました。 安倍元内閣総理大臣とは古くからのお付き合いがありました。7月8日に本県内で亡くなられた際には、当日夜に県立医科大学附属病院において、ご弔問いたしました。冥福をお祈りいたしました。 安倍元内閣総理大臣の国葬儀についてのお尋ねになりますが、閣議決定され、国の儀式として実施されるものでありますので、国葬儀委員長である岸田内閣総理大臣からの案内状が奈良県知事宛てに届きましたので、公務として出席いたします。公務であることから、これに関連する支出は当然公費ですべきものと考えます。また、出席者の武道館への送迎を含め、葬儀自体が公費で賄われておりますので、その公費の中で我々が出席できるものと考えております。 また、明日の国葬儀当日は、安倍元内閣総理大臣への弔意を表明するため、国旗・県旗を掲揚している知事所管の本庁舎、分庁舎、出先機関において半旗を掲揚いたします。 奈良新「都」づくり戦略についてのご質問がございました。 最初のご質問は、リニア中央新幹線の全線開業の見通しについてのご質問でございます。 リニア中央新幹線の整備につきましては、今井議員は、2037年に全線が開業する見通しは立っていないとの見解を示されましたが、私はそのように考えておりません。 まず、静岡工区における水資源問題については、国の有識者会議が取りまとめた中間報告に基づきまして、トンネル掘削工事中に静岡県外へ流出する水量を戻す方策について、現在、関係者間で協議が行われています。私もこれまで申し上げてきたとおり、科学的な根拠に基づく合理的な話合いが進みつつあると認識しております。東京・名古屋間の工事の進捗に向け、早期に現実的な解決策が得られるものと期待しております。 こうした中、静岡県も本年7月に、現ルートで2037年の大阪までの全線開業を目指すとの立場を共有されまして、賛同されまして、沿線都府県で構成する期成同盟会に加盟されました。これで10都府県がそろってリニア中央新幹線整備を促進する体制が整ったことになります。 次に、本県を含む名古屋・大阪間につきましても、着工の前提となる環境影響評価手続の開始に向け、今年になって大きな動きがございました。6月の国の骨太の方針には、来年2023年からの環境影響評価への着手に関する国の方針が明記されました。また、岸田内閣総理大臣からも、駅やルートの決定に向けて知事がリーダーシップを発揮してほしい旨のご要請を直接いただいたところでございます。このように、国も積極的に推進する姿勢を明確に表しておられますので、国の各省、またJR東海の様子も随分変わったものになってきているような実感をしております。 東京・名古屋間の実績を見てみますと、環境影響評価手続の開始からおおむね4年程度で着工に至っております。名古屋・大阪間につきましても、来年2023年に環境影響評価手続が始まれば、いよいよ工事実施計画の認可、そして着工に向けた動きが具体化することになります。こうしたことから、今から15年後、2037年の本県区間を含むリニア中央新幹線全線開業は十分に現実的なものであると考えております。 県としても、奈良市附近駅の位置及び県内ルートの決定や早期着工に向け、事業主体であるJR東海や国、関係者と緊密に連携し、全力で取り組んでまいりたいと思っております。 奈良新「都」づくり戦略についての次なるご質問がございました。県民の身近な生活を守るための施策にも取り組むべきというご趣旨だと理解いたしております。 奈良新「都」づくり戦略は、令和元年の4期目となる知事就任後に、「もっと良くなる奈良県」を目指した県政発展の目標と道筋として取りまとめたものでございます。これまで、この戦略に基づき議論を重ねながら、知恵と工夫を凝らして諸施策に取り組んでまいりました。 これまでの奈良新「都」づくり戦略の中で、今井議員お述べの身近な成果も数多く入っており、むしろたくさん入っているのを誇らしく思うところでございます。子ども・子育て助成支援、医療、健康増進、介護等、大きな成果が挙がっていることに目を向けていただければと思います。このほか、工場立地件数の増加、なら歴史芸術文化村の開村、奈良県コンベンションセンターのオープンなど、目に見える形での成果が表れてまいりました。 このような産業・経済活性化の取組と言われるものも大きな目標としておりますが、その大きな理由は、奈良県は若者の流出が全国で最も多い県だからでございます。若者の流出を抑止するために、若者の雇用の創出が奈良県の喫緊の課題だと認識しております。今井議員もきっとそのように思われていると思いますが、雇用の創出に効果が期待できるようにするためには、新幹線も空港もない二つだけ残っている県の一つであります奈良県に、幹線の国土軸につながるリニア中央新幹線は大きなインパクトでございます。リニア中央新幹線奈良市附近駅の設置は極めて奈良県の発展に大きな意味を持ちます。 それと関連する事業の実現を基軸とした今後の奈良県の姿に思いを巡らせ、様々なアイデアを盛り込み、深化させた奈良新「都」づくり戦略2022は、また大きな意味を持つようになってきております。 この奈良新「都」づくり戦略に盛り込んだ、リニア中央新幹線奈良市附近駅の設置や大規模広域防災拠点の整備など大きなプロジェクトは、今後、奈良県が発展していくために必要な屋台骨になる重要なものでございます。こうした未来への投資を着実に実行することにより、本県の自立が図られ、その結果、若者の県外流出を抑止し、県民の皆様の暮らしが継続的によりよくなるものと確信しております。 こうした大規模なプロジェクトと併せまして、今申し上げたことでもありますが、県民の身近な生活を守り、充実させる施策も極めて重要であると承知しております。奈良新「都」づくり戦略では、福祉や雇用、子育てなどの分野においても着実に取組を進めております。 例えば福祉の分野では、困っている人を誰一人排除せず助けるといった福祉の奈良モデルの考え方に基づく取組を実践するため、今年3月に「人と人及び人と社会がつながり支え合う地域福祉の推進に関する条例」を制定し、市町村と連携・協働して包括的な支援体制の整備に取り組んでおります。 また、先ほど尾崎議員もおっしゃいました、出所者の雇用に関する条例は、奈良県の大変ユニークな取組として県内外で大きな評価を得ているところでございます。 また、同時に、多様な人材の育成や再就職支援など雇用の分野、子どものはぐくみの充実など子育ての分野、南部・東部地域振興など地域振興の分野についても、それぞれ新たな条例を制定し、大変ユニークな取組を進めております。これも奈良新「都」づくり戦略の誇らしい成果でございます。 今後も引き続き、奈良を発展させる波の勢いを止めることなく、奈良をもっとよくするため、奈良新「都」づくり戦略を実行に移していきたいと考えております。 新西和医療センターの整備についてのご質問がございました。 新西和医療センターの整備につきましては、先頃、整備基本構想を策定いたしました。この基本構想では、現地建替と移転建替を比較検討いたしました。公共交通機関によるアクセスに優れる等のメリットが大きいJR王寺駅南口への移転建替を基本として進めていくこととしたところでございます。近く、西和7町からも王寺駅南側への移転建替を求める要望書が提出される予定でございます。 現在、策定作業を進めております整備基本計画では、具体的な診療機能や病床数等の全体方針、また、外来診療室や検査室、手術室等の配置等に係る部門別計画、また、建物の全体構造や浸水対策のほか、整備スケジュール、事業収支計画等の検討を行うこととして、令和5年度中の策定を予定しているところでございます。 その中でも浸水対策につきましては、洪水浸水想定区域に立地している他の災害拠点病院での対策を参考に、主要な医療機器や機械設備の高層階への配置や防水板、防水シャッター、被災時にも使用可能なエレベーターの設置など、大和川の氾濫等大規模災害が発生した場合でも診療を継続し、災害拠点病院としての機能を十分確保できるよう詳細な検討を行いたいと思っております。 また、今井議員お述べのように、今議会の補正予算案に新西和医療センター整備予定地の測量・補償調査と、アクセス機能に関する基礎調査につきまして所要額を計上しておりますが、基礎調査の中で、浸水害等災害発生時の緊急車両の運行ルートについても検討を行うことにしております。 なお、整備基本計画の策定にあたりましては、県議会や地域医療構想調整会議へのご説明、報告はもちろんのことでございますが、パブリックコメントの実施など、住民の皆様のご意見をお聞きすることは当然考えております。私への質問は以上でございました。 ○議長(岩田国夫) 森川医療・介護保険局長。 ◎医療・介護保険局長(森川東) (登壇)37番今井議員から私へは、高齢者施設における新型コロナウイルス感染症のクラスター対策について、施設職員に対する一斉PCR検査をより頻回に実施するなど、さらなる対策が必要と考えるが、どのように取り組んでいくのかとの質問をいただきました。お答えします。 本県の高齢者施設等のクラスター対策は、県立医科大学感染症センター笠原教授の監修による感染対策マニュアルに基づき、効果的に実施しているところでございます。 今井議員お述べの施設職員に対する一斉PCR検査は、職員による感染の持込みが原因となる施設内感染を予防するため、希望する施設を対象に、おおむね3か月1クールで実施しております。感染予防目的に照らせば、より多くの施設で検査を実施することが重要であり、まずは検査の実施率を高めるため、各施設への勧奨に取り組んでいるところでございます。 また、PCR検査は施設内で感染者が発生した場合の感染範囲の特定に有効でございますので、本県では、濃厚接触者のみならず幅広く職員及び利用者の検査を一斉に実施し、感染症専門医等からなるチームによる現地指導など、迅速な感染拡大防止対策につなげ、クラスター防止に一定の成果を上げているところでございます。 これに加えて、今年度からは、マニュアルが示す感染の持込みや施設内での拡大を防止するための対策の実践責任者として、各施設で選任した新型コロナ感染対策責任者を県へ登録いただき、県と各施設とが緊密に連携して対策に取り組んでいるところでございます。 高齢者施設における直近の第7波における感染拡大状況を受けて、先月上旬には、この責任者を対象に、笠原教授によるクラスター対策の緊急オンラインセミナーを実施いたしました。さらに今般、施設内の各現場に目を行き届かせ、より確実に感染予防対策を実践いただけるよう、各施設において、フロアやユニットごとに新型コロナ感染対策個別責任者を選定いただき、笠原教授の助言を得て作成した、集合形式での飲食などの場面別に換気や消毒といった感染対策のポイントを示したチェックリストを活用いただいております。 今後とも、各施設の責任者や専門家と連携しながら、蓄積された知見に基づき、個々の感染事案に即応したクラスター対策に努めてまいります。以上でございます。 ○議長(岩田国夫) 塩見水循環・森林・景観環境部長。 ◎水循環・森林・景観環境部長(塩見浩之) (登壇)37番今井議員から私へは、平群町のメガソーラー開発計画について、応急防災工事の現在の進捗状況と今後の見通しについてのお尋ねでございます。お答えします。 平群町のメガソーラー開発計画については、昨年6月に、事業者が提出した開発区域の下流水路の数値が誤りであることを現認したことから、直ちに事業者に工事を停止させました。そして、現地の安全を確保するため、緊急的に沢筋に雨水を一時的に貯留する仮設沈砂池等を施工させ、昨年12月にこの設置を現地確認しております。また、本年7月には、仮設沈砂池の堰堤の補強や放水管の設置を実施させました。 県では、これらの応急防災対策工事を、現地の安全を確保するため、その工期と効果を勘案して段階的に事業者に実施させてまいりました。現在、許可に基づく工事を停止させている状態であり、その現況に対する応急防災対策工事では、森林法の基準を適用し、30年確率の大雨が降っても洪水調整できる調整池を設置させます。 事業者からは、森林法基準の応急防災対策工事計画書が7月末に提出され、県でその内容を審査したところ、適当であると認めたことから、事業者は9月1日にこの計画書による応急防災対策工事の着手を届け出ました。この応急防災対策工事については、6月議会で9月末までに完了するよう強力に指導すると私が答弁しましたが、事業者は工事完了を年内を目途としています。 県としては、応急防災対策工事の完了を確認し、当初許可時の計画を許可基準に適合する計画に変更して県の許可を受けなければ、令和3年6月に事業者に指示した工事の停止は解除いたしません。以上でございます。ご質問ありがとうございました。 ○議長(岩田国夫) 37番今井光子議員。 ◆37番(今井光子) ご答弁ありがとうございました。何点かお伺いしたいと思っております。 最初の旧統一教会の関係でございますけれども、令和元年、令和2年、令和3年と過去3回、ピースロードの催しに職員を派遣してメッセージを送ったということでご答弁いただきましたが、全国的に今言われておりますのは、選挙のときに旧統一協会から選挙ボランティアを送られ、そして、選挙ボランティアが電話をかける、チラシを配布する、いろいろなことをしてもらったので、なかなかメッセージを送ることを断りにくいということが言われています。令和元年というと、知事の選挙の年になりますが、そういう支援があって、そうしたメッセージを送ったということになっているのかどうか、お尋ねしたいと思います。 ○議長(岩田国夫) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) 知事選とメッセージを送ったのは全く関係ないと思います。私もこのような名前の団体があることを知りませんでしたし、また、担当も関係あると知らなかったから、そのような儀礼的な行為をしただけだと思います。全く関係ないと認識しております。 ○議長(岩田国夫) 37番今井光子議員。 ◆37番(今井光子) 要望で出したのですけれども、本当にこうしたことで苦しんでいらっしゃる方が、奈良県で旧統一教会の関連の事務所が5か所あるとホームページに載っているのですけれども、たくさんの方が様々な被害を受けておられると思います。国では一時、相談の窓口を設けておりますけれども、私は、県としてもぜひそうした対応ができる窓口を設けていただきたいと思いますが、そのお考えはありますでしょうか。 ○議長(岩田国夫) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) 検討したいと思います。 ○議長(岩田国夫) 37番今井光子議員。 ◆37番(今井光子) 国葬ですが、これは知事と意見が大分異なると思います。国葬につきましては、本当に今、国葬は反対だという声が広がってきており、そして、何が国葬なのか、わけが分からなくなってしまっている状況が起こっているのではないかと思っています。 国全体で弔意を示すことと、一番最初は言われていたのですけれども、それがだんだん内容が変わってきておりまして、安倍元内閣総理大臣の亡くなったことに関連して、弔意を示すことに賛同する人だけが弔意を示すのか、国全体で示すのかという、その辺のいきさつについてわけが分からなくなってしまっているのが、今の現状ではないかと思っています。 公費を使うなという住民監査請求なども起きており、私は、本当に国民が苦しんでいるときに、莫大な16億6,000万円というお金を、今言われているように本当は幾らかかるか分かりませんけれども、もっと困っている人を助けてほしいという声がたくさん上がっておりますので、意見として言わせていただきたいと思います。 それから、リニア中央新幹線の問題です。 リニア中央新幹線の問題は、開業する見通しはあると知事は言われていますけれども、リニア市民ネットというところから山梨県の知事に申し入れている文書の資料を配付させていただきました。リニア中央新幹線の問題では、各地で水が枯れるだとか、南アルプスのトンネルの掘削で、あちらこちらで事故が起きているとか、特に最初の環境アセスがきちんと行われていない、ボーリング調査がきちんとできていない中で工事が始まってしまって、ストップになる箇所があちらこちらで起こっています。きちんと全体を見ないと、希望的観測だけでは私は問題になるのではないかと思っているのです。 名古屋から大阪までは、まだ計画決定がされていない状況ですが、2037年に全線開通することは、いろいろな点から判断すると厳しいのではないのかと思っているのですが、知事としては、そこは大丈夫だと確信を持っていらっしゃるのかどうか、もう一回確認したいと思います。 ○議長(岩田国夫) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) 今井議員は、いろいろな点で私より優れた見識をお持ちであるということは私もよく知っておりますが、リニア中央新幹線については私も少々経験がございます。また、JR東海とか国の情報も、先ほど紹介された方々よりも多少は多く持っていると自負できると思います。リニア中央新幹線の見方だけについては、今井議員には劣らない点があると自負しております。少し自慢気に言って大変恐縮でございます。 その上で、詳しくは申しませんけれども、2037年、15年後でございます。15年後のプロジェクトに対して国が直接このような、来年に環境アセスをしてくださいということを言うのは極めて異常なことでございます。国も3兆円の無利子貸付けを実行しておりますので、国のステークホルダーとしての立場が出ているように感じております。今までの整備新幹線のいろいろな工事の実行から比べて、国の入れ込みは極めて異例なことだと感じております。 工事はとにかく難しいこと、難所ばかりです。工事で少し水が出た、工事で少し山が崩れた、それで工事が止まったことはございません。日本の鉄道工事で止まったことはございません。必ず貫通しているのが日本の工事のこの150年間の歴史でございます。いろいろなことを考えますと、2037年は希望的観測ではなしに、科学的根拠に基づいた、確固たる完成が期待できるプロジェクトだと思っております。 ○議長(岩田国夫) 37番今井光子議員。 ◆37番(今井光子) 8月にリニア中央新幹線の品川のところで工事が中止になっているということが分かりまして、それは掘削工事のところで、添加注入剤の故障とか、そういうことで掘削マシーンがストップしてしまったということなども出ております。止まったのは、ずっと前の、2月に止まっているのに、8月になってそれが分かったという情報をきちんと開示しないまま、いろいろやっているという点は、よく見ておかなくてはいけないと思いますので、ご意見を申し上げておきたいと思います。 コロナ対策につきましては、今、医療・介護保険局長から、もう少しPCR検査を増やしていきたいというお話がありました。本当にそれは必要なことだと思います。各施設に担当者を置いて、蔓延させないように、感染拡大しないようにとしても、それ以後も医療機関とか福祉施設とか、ずっと感染が広がっています。 クラスターが発生していたときに高齢者施設の事務長さんから寄せられたメールを、少し紹介したいと思います。これは、感染があっという間に拡大する、あっという間に急変する。中では、酸素などの医療行為をしているから何とか抑えているけれども、施設で対応できる範囲ではなくて、医療行為を行う、むちゃくちゃなことをやっている。そして、フロア内で感染を封じ込めるために、居室で過ごしていただくように頑張っているけれども、すぐに出てきてしまう。扉にタックルしてけがをしそうになる。そうした中で感染を拡大させないために、命を守るために本当に必死で頑張っている。そういうことが寄せられました。 実際、急に状態が悪くなり、2月8日には、救急車を呼んで2時間、救急車内で待機したけれど、そのまま介護施設に戻されて、施設内の療養を余儀なくされて亡くなってしまったという、この時代に医療も受けられずにコロナで亡くなるということが実際に奈良県で起きておりますので、感染を拡大させないために、こうした施設の定期的な検査をぜひ拡大して続けていただきたいと思います。 ○議長(岩田国夫) 森川医療・介護保険局長。 ◎医療・介護保険局長(森川東) 感染拡大防止のためのPCR検査の頻回実施ということでございますが、先ほどもご紹介したように、現在、3か月1クールで全施設、希望されるところを対象に実施しているところでございます。 今現在の実施の頻度についてでございますが、PCR検査を実施する場合には、どういったことを施設側で対応いただくかといいますと、まず、職員全員の勤務シフトを確認して、職員全員に検査キットを配付して、保管し、回収して検査機関に取りまとめて提出するということです。こういったことを、感染防止対策を徹底しながら、通常の業務を行いながら行うことは施設にとって非常に負担であるという声も聞く中で、実施可能な体制として現行の取扱いをしているという実態です。 今後も、施設側のそういう声を、あるいは実情をよく聞きながら、適切に対応してまいりたいと考えております。以上でございます。 ○議長(岩田国夫) 37番今井光子議員。 ◆37番(今井光子) よろしくお願いしたいと思います。 西和医療センターですけれども、知事のお話では、もう駅前に決まってしまったかのように受け取ったのですが、私の聞いておりますところは、現地建替か駅前か両方を提示して、そしてパブリックコメントをして、皆さんの意見を聞いて進めるべきだと思いますが、その点はいかがでしょうか。 ○議長(岩田国夫) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) もちろん確定したわけではございません。現地か移転かという検討をしている中で、移転先が全くないというのは困りますので、移転先の有力な候補としては王寺駅南口がありますよということが分かっていますので、それが可能かどうか、現実的かどうかということを検証しているわけでございます。その検証が済んだ上で、その場所がいいかどうかということは、これからのことでございますので、これから確定させるという段階でございます。移転先になれば、王寺駅南口が有力候補として考えておられることは確かでございますけれども、確定したわけではございません。 ○議長(岩田国夫) 37番今井光子議員。 ◆37番(今井光子) やはり十分な情報公開をして、よく意見を聞いて進めていっていただきたいということをお願いしておきたいと思います。 平群町のメガソーラーにつきましては、本当になぜ、6月の約束が9月になって、10月、11月になるのか、そこが住民の方はよく分からないということで、遅れている理由について、もう一度確認したいと思います。 ○議長(岩田国夫) 塩見水循環・森林・景観環境部長。 ◎水循環・森林・景観環境部長(塩見浩之) 時間がかかっている応急防災対策工事の件についてのご質問でございます。 県では、これまで応急防災対策工事を、現地の安全を確保するために、その工期と効果を勘案して、段階的に事業者に実施させてきたところでございます。 事業者からは、応急防災対策工事計画書は7月末に提出されまして、県ではその内容を慎重に審査し、適当であると認めたことから、9月1日、年内の工事完了を目途とする応急防災対策工事の着手届が提出されました。引き続き防災対策の早期完了について、事業者を指導してまいりたいと考えております。以上です。 ○議長(岩田国夫) 37番今井光子議員。 ◆37番(今井光子) 本当に皆さんが心配しているのは、雨が降ったときに土砂災害が起きないかということです。ひやひやしながら心配されています。 それで、森林開発は30年確率降雨の適用ということですけれども、大和川は50年確率降雨の適用ということになるかと思いますが、どういうふうに考えたらよろしいのでしょうか。 ○議長(岩田国夫) 塩見水循環・森林・景観環境部長。 ◎水循環・森林・景観環境部長(塩見浩之) 大和川流域総合治水条例は開発計画の完成形に対して適用する基準であり、工事を停止させた現況に対する応急防災対策には森林法の基準を適用させ、対応いたします。以上です。 ○議長(岩田国夫) 37番今井光子議員。 ◆37番(今井光子) 出された書類を見ますと、98%が間違っているとか虚偽の記載かという状況になっております。それでも、これは修正すればいいだけのことなのか、もうここまで間違っていたら一旦取消しして、もう一度やり直すべきではないかと思いますが、その点ではどのようにお考えでしょうか。 ○議長(岩田国夫) 塩見水循環・森林・景観環境部長。 ◎水循環・森林・景観環境部長(塩見浩之) 工事停止の時点で、現地を伐採、搬出のための仮設作業道の土地改変が行われ、伐採を終えた状態でありました。許可の工程では、この後に防災調整池の整備後に開発区域の造成工事を行うということになっており、切土・盛土による全体の造成工事に着手していない状態で工事を停止させたものでございます。 県が工事を停止させた時点で、現地の安全を確保するため、事業者に対して、現地の地形等を考慮して、できる限り切土・盛土を行わない工法で緊急に対策するよう指示し、その後、応急防災対策を段階的に事業者に実施させてまいりました。この許可については、変更許可がなければ現場は動かないこと、許可を取り消せば事業者との訴訟が提起され、それにより現地が放置されることなどが予見できたことを踏まえまして、行政指導により応急防災工事を実施させ、現地の安全確保を最優先してきたものでございます。以上です。 ○議長(岩田国夫) 37番今井光子議員。 ◆37番(今井光子) とにかく地元の方が安心して行ける、きちんとした防災対策を一日も早く進めていただきたいとお願いしておきたいと思います。 これで終わります。 ○議長(岩田国夫) しばらく休憩します。 △午後3時20分休憩    -------------------------------- △午後3時39分再開 ○副議長(西川均) 休憩前に引き続き会議を開きます。 次に、15番佐藤光紀議員に発言を許します。--15番佐藤光紀議員。(拍手) ◆15番(佐藤光紀) (登壇)皆さん、こんにちは。生駒市選挙区選出の佐藤光紀です。本日は、奈良県議会、日本維新の会を代表して質問させていただきます。 本題に入ります前に、昨今の情勢を鑑み、私見を述べさせていただきます。 今年の3月に新型コロナウイルス感染症対応とグローバル化について申し上げましたが、その後、第7波を迎え、相も変わらず感染者が何人だ、死亡者が何人だと、もはや違和感しかありません。報ずるにしても、せめて重症病床確保数や重症病床使用率などであるならば、国民に対して周知至らしめる意味があるかと思うのですが、これらの一報にどれだけの意味があるのか。さきの議会でも申し上げましたが、1日にがん患者が1,000人以上亡くなっていることを鑑みると、どこに視点を置くのかということが重要であると考えております。 最近では、尖閣諸島沖において接続水域への入域、もしくは領海侵犯が頻繁に行われているという状況ですので、国民に知らしめる必要があるのは一体どちらでしょうか。また、企業倒産が何件、外国資本による物件買収が何件だと報ずる必要性すら私は感じております。 前回も申し上げましたが、至らぬグローバル化が我が国をむしばみ、地域の弱体化による国力低下も見られます。安いところへ安いところへと生産拠点を移し、気がつけば技術が流出していたばかりか、我が国のほうが安かったという、冗談では済まされない状況に陥っております。 ここ最近、急激な物価高が社会問題化しておりますが、そもそも日本の物価は高い、賃金は高い、安く、より安くあるべきだという偏った概念であったことに気がつき、改めるべきです。そして、賃金が上がらないのはなぜか、物価だけが上昇していくのはなぜか考えていきましょう。そこから始まります。私は政治を諦めておりません。 さて、今回の質問は指摘と提案を趣旨とし、その改善策を知事並びに担当部局長の皆様方と前向きな議論ができればと思い、質問に入らせていただきます。 去る6月20日に奈良県と第五管区海上保安本部との間に包括連携協定が結ばれました。協定の内容としては、一つ、災害時の応援に関すること、二つ、災害への備えに関すること、三つ、海上における安全の意識啓発などに関すること、四つ、子ども・青少年教育及び生涯教育などに関すること、五つ、その他として、海上保安業務紹介などを通じた海上保安学校などへの学生募集活動について、これら5項が定められました。 ここで、よい機会ですので、海上保安庁について紹介させていただきたいかと思います。 我が国の領海・接続水域は447万平方キロメートルに及び、世界第6位であります。 海上保安庁は、旧海軍が担っていた沿岸警備活動を含め、臨検業務など海の警察として、また、船舶の消火活動など海の消防として、さらには海上交通センターなどの運営、灯台などの維持管理、果ては海洋調査など多岐にわたり、北は第一管区から南は第十一管区まで、国土交通省の外局として業務遂行の任にあたっていただいております。 また、海上保安庁法第25条において、軍隊ではない明確な定義もあり、困難な状況下、我が国の平和を支えてくれている存在でもあります。 当然ながら課題も多く、海上保安庁の予算は奈良県予算の半分以下の2,500億円程度であり、ここ10年、横ばい傾向にあります。実働人員については、教員や警察を含めた奈良県職員約1万6,000人より少ない1万3,000人程度であり、ここ最近、定員を増やそうとされておられますが、先ほど申し上げたように、多岐にわたる職種ですので、増員も一筋縄ではまいりません。 そもそも、ここ最近の傾向として、大型巡視船も順次建造している中で、予算は横ばい、定員を増やす状況であり、予算的に余裕がない状況です。私見ではありますが、国の防衛力を上げるための憲法第9条の改正の議論も、防衛費増額の議論も必要だとは思いますが、海上保安庁の予算や人員の確保、船舶や機材の確保が優先されるべきと私は思います。皆様は一連の話を聞かれて、どうお感じになられましたでしょうか。きっと、そんなに少ない予算や人員だったのかと思われたことでしょう。 実は先日、県政報告会を実施いたしましたところ、コロナ禍にもかかわらず50名近い方々に来ていただきました。その際、海上保安庁の予算について尋ねてみました。定員の話も尋ねてみました。海難事故での緊急連絡先は118番であることも聞いてみましたが、多くの方々がご存じありませんでした。そして、驚いておられました。知ることとは大事なことだと思います。 先日、奈良県議団維新会派として、神戸市にある第五管区海上保安本部に清水議員とともに行ってまいりました。その際、私も知らなかった事実を知らされました。 こちらのパネルをご覧ください。皆様にもお手元にお配りさせていただいております。 奈良県などの内陸県における乗船者の在住地域別海難事故割合と事故者の在住地域別の発生割合です。表のとおり、乗船者の海難事故割合は10万人中3.79人、海難事故者の割合は内陸県でトップの10万人中4.61人と高い水準で海上保安庁にお世話になっているという結果が出ておりました。つまり、我々内陸県在住者の海難事故に対する意識が低いのではないでしょうか。このような背景もあり、現在、海上保安庁において、ポスターやこのようなクリアファイルの啓発品を海上保安庁の予算で作成し、奈良県民にも伝わりやすいように周知していただいているとお聞きいたしました。 ここで一つ、皆様にも気づいていただきたいことは、海上保安庁は奈良県内に広報を行う支所がございません。このような啓発品は少なくとも奈良県の予算で用意すべきであり、財源が限られた海上保安庁の予算を使うべきではないと私は思っております。 また、110番、119番通報と同様に、118番通報についても奈良県として普及啓発に努めるべきであり、交通事故や防災と同様に、海難事故について意識啓発にも努めるべきであるかと思います。 奈良県は海なし県ではありますが、海に囲まれた島国の国民であることには変わりなく、その海を、我が国の安全を、平和な日常を支えてくれている海上保安庁の存在を知ることは国防に直結し、海なし県でも海上保安庁を支えることにつながると考えます。この包括連携協定を契機に知ることから始め、我々一人ひとりができることがないか、見直していくには絶好の機会と考えます。 そこで、奈良県と第五管区海上保安本部との間に締結された包括連携協定について、今後、具体的な取組を検討されると考えますが、協定締結の狙いや今後の方針について、知事の所見を伺います。 次に、奈良中心市街地の交通対策として、奈良公園から平城宮跡を含むエリアにおける公共交通の利用環境の向上を狙い、奈良中心市街地の観光地を巡るぐるっとバスの運行、すなわち奈良県におけるパークアンドライドについて、知事にお聞きしたいかと思います。 事業費としては年間2億4,000万円程度を投じておりますが、本施策はこれにとどまらず、既存のバス路線や市内循環バスも利用できるように制度設計されております。 こちらのパネルをご覧ください。上がぐるっとバスで、下が奈良交通の市内循環バス経路となっております。 また、パークアンドライドと銘打つように、特定の場所に駐車した代金を割引し、移動には、これらバス路線を利用して観光を楽しんでいただこうという施策です。ワンポイントとしては、奈良県産木材を利用した一日乗車券の木簡切符の販売です。 こちらをご覧ください。デザインも出来もなかなかのものだと思います。 実は先日、百聞は一見にしかずと申しますので、友人たちと利用してまいりました。車を奈良県コンベンションセンターの駐車場に止め、昼の10時から市内観光してまいりました。正直、とても新鮮であり、駐車の煩わしさもなく、移動もスムーズできめ細かく、バスの車両も色分けされ分かりやすいものでした。友人からの評価も非常に高く、渋滞緩和にも役に立ち、有効性も将来性もある事業と評価させていただきたいかと思います。 しかしながら、多数の改善が必要であることも、よりよくするために指摘させていただきたいかと思います。 一つは、ぐるっとバスの運行最終時間です。大和西大寺駅南側まで走る大宮通りルートが、夕方4時半以降は近鉄奈良駅止まりとなるのは早過ぎます。そもそもパークアンドライドですから、対象駐車場がない近鉄奈良駅で終わってもらっては困ります。今後は、利用状況にもよるのでしょうが、対象となる駐車場付近まで最終便が終着する改善が必要かと思います。 もう一つが、現状、利用が少な過ぎるという点です。広報にもっと力を注ぐべきではありますが、そもそも修学旅行向けに営業をかけておらず、理解ができません。皆さんもご経験があるかと思いますが、修学旅行の際にグループで分かれ、事前に計画した目的地を巡った懐かしい記憶があるかと思います。 奈良県としても観光プロモーションの一環として、このような奈良県修学旅行ガイドブックという全50ページにわたる冊子も用意されているのですが、修学旅行生に木簡切符を販売し、ぐるっとバスを利用してもらうという概念がなかったとのことで、これは改められた方がよいという具申をさせていただきたいかと思います。 加えて、木簡切符の販売場所が奈良県コンベンションセンター内、JR奈良駅前、近鉄奈良駅前と限られている点です。なぜ、平城宮跡の天平みつき館や奈良公園バスターミナルの売店などで販売しないのでしょうか。やるからには徹底して販売する必要があるかと思います。 そして、最大の謎は、県が整備しているバスターミナルがターミナル機能をなしていないという問題です。せっかくの施設ですので、活用されたほうがよりよくなると考えます。 そこで、奈良中心市街地の観光地を巡るぐるっとバスやパークアンドライドについて、その利便性向上を図るとともに、観光戦略の観点から、今後さらに有効に活用していくことが必要と考えますが、知事のお考えをお伺いいたします。 次に、平城宮跡歴史公園南側地区の整備に関してお聞きしたいかと思います。 積水ハウス工場跡地に県が公園整備を目的として購入した本地は、現在、検討委員会での協議を含め、その計画が練られております。この場所は歴史・文化資源としての意義が大きく、観光・交流拠点としてのポテンシャルが極めて高い場所であることから、奈良県を代表する公園としての整備に大いに期待するところであります。 一方で、整備については少しばかり不安に思う点もございます。公園計画地の一部は奈良公園バスターミナルを利用したバスの駐機場として利用されているほか、北側駐車場とも併せて、ぐるっとバスが利用できる仮設駐車場として運用されております。 これらの整備に関して、奈良の玄関口にふさわしい公園整備を目指して検討委員会が設置されておりますが、その議事録を見てみますと、大宮通りからのアクセスをなくし、公園そのものの快適性を優先する、ドライブスルーは渋滞の原因となるなど公園としては設置しないほうがよい、駐車場は一般的な商業施設と同じしつらえにせず、駐車台数を減らしてでも緑化に努め、公園らしい整備をすべきなどの意見が相次いでいるとのことです。また、北側駐車場出入口と南側駐車場出入口付近を一体改良し、交差点化を図るとした当初の説明から一転、交差点化は難しいと当初の説明を覆す内容で現在進捗している状況です。 本地においては、将来的に近鉄大和西大寺駅・近鉄奈良駅間の新駅が建設される計画もあり、中心地郊外で駐車し、奈良市中心地へは公共交通機関を利用して移動できる条件に合致する用地でもあり、まさに奈良の玄関口にふさわしい公園を整備できる用地として認識しております。しかし、設定条件を誤ると、イベント時以外の平城宮跡歴史公園のように、観光バスは素通りし、車も寄りつかないスルーパスの公園となる可能性もあり、大変危惧しております。 そこで、今年度において整備計画の策定を進めている平城宮跡南側地区について、どのような公園としていかれるのでしょうか。また、仮設駐車場として運用している県営奈良めぐり平城宮跡前自動車駐車場を本格整備するにあたり、どのような機能を持たせるのか、知事に伺います。 次に、県管理道路の歩道について、事例を踏まえ、お聞きいたします。 議場には、平城宮跡歴史公園前から県庁東までの通称大宮通りの歩道の舗装状況と点字ブロックの状況を取りまとめた資料を見比べられるように、A3全7ページの資料をお配りさせていただいております。また、下段に置いてありますパネルには、それら資料の一部写真を掲示しております。 大宮通りを参考に話を進めさせていただきますが、皆様の周りにある歩道状況を思い浮かべながらお聞きいただければ幸いです。 今年4月、奈良県内の踏切内で目の不自由な女性が列車と接触して死亡した痛ましい事故を受け、国土交通省は、踏切の手前の点字ブロックや線路内で立ち位置を認識するためのブロックなどの設置を促す内容を盛り込んだガイドラインを改定しております。我が県議会においても、踏切内の視覚障害者誘導表示等設置に対する財政支援に関する意見書第5号が決議され、国に提出されました。 しかし、皆さん、少し待ってください。皆様の足元がおろそかになっていることにお気づきでしょうか。担当部署においては、日夜、維持管理に努めてくれているのですが、仕様的な問題や予算的・人員的な問題などの諸課題も多く、ふだんは注視していないその足元を見直す必要がある状況であることを、この場をお借りして申し上げたいと思います。 以前、県議会一般質問において、奈良県においても他府県で行われている車道舗装を対象とした舗装維持修繕計画を設けて、メンテナンスサイクルを確保し、ライフサイクルコストとして劣化を予測し、維持修繕費を算出して予算の平準化を図るべきと申し上げましたが、歩道舗装についても同様の対処が必要であると考えております。 また、視覚障害者誘導用ブロック設置指針に基づいて点字ブロックは設置されているわけですが、現状において、歩道舗装仕様との相性や後づけで施工している箇所も多く、様々な問題が生じており、一度、整理しなければいけない状況であると判断しております。端的に申し上げて、歩道舗装の仕様がまちまちで、点字ブロックの仕様もまちまちです。 大宮通りを事例に申し上げますと、平城遷都1300年祭に前後して導入された豆砂利仕様の歩道舗装ですが、当時は点字ブロックが設置されていなかった箇所に、その後、要望があったのか、点字シートを接着し、改修された箇所がございました。しかし、経年劣化という要素が入ると相性は最悪で、気がつけば、誘導部どころか停止線となる警告部も外れてしまっている箇所が数か所ありました。さらには、切下げ部の点字ブロックとの相性も悪く、割れてしまい、もはやつまずく原因ともなりかねない状況の箇所も現時点、点在しております。 この2枚のパネルを見ていただければ、お分かりになられるかと思います。 点字ブロックに加え、シート型、ガイド型、溶融型と入り乱れ、例を漏らさずシートは外れ、しかも一部はめくれ上がっています。外れたシートは滑るもととなり、めくり上がっているシートは、つまずく原因ともなります。根本を直さないと不具合を繰り返すことにもなります。 これらを踏まえ、歩道舗装で言うなれば豆砂利仕様は今後改めるべきであり、経年劣化もピークに来ておりますので、早急にカラーファルトなどに改修が必要と判断しております。加えて、点字シートにおいては応急処置にとどめ、本設置での使用は避けるべきと考えます。 また、担当課に確認したところ、点字ブロックを一旦入れるとした場合、誘導部も終端まで設置するのが奈良県の基本方針と伺っておりますが、バリアフリーとなっていないため、その間には切下げ部が数多く存在するなど、先ほど指摘させていただいたとおり、切下げ部の点字ブロックは損傷する可能性が高く、誘導部に要する費用があるならば、後々の維持管理も含めて、車道や踏切などに接する危険箇所に対する警告ブロックに重点を置くほうが現実的ではないかと思います。 そこで、奈良県が管理する道路の歩道において、舗装と視覚障害者誘導用ブロックの仕様を見直し、及び危険箇所における警告ブロックの優先的な設置が必要と考えますが、今後どのように進めていくのか、県土マネジメント部長に伺います。 次に、奈良県の農業産出額についてお聞きいたします。 まず、一般的に日本の食料自給率が低いとされている点について触れておきたいと思います。 確かにカロリーベースでは、全国平均が令和3年の概算値で38%と低い状況にあると言われております。しかし、野菜等の自給率は8割弱となっているのですが、カロリーが高い小麦や肉の輸入が多ければ、当然、カロリーベースなので自給率は低くなるわけです。しかも、畜産物においては、輸入飼料を用いた場合、自給率に換算されないというおまけつきです。 令和2年3月に、ようやく食料国産率という設定ができました。分かりやすい例えとして、鶏卵のカロリーベースの食料自給率は13%でしたが、食料国産率とした場合、96%まで跳ね上がります。つまり、ほとんどの卵が日本国内で生産されているということです。しかし、食料自給率は13%と、カロリーベースはそのようになってしまいます。しかしながら、依然として野菜より小麦や肉のほうが圧倒的にカロリーが高いため、カロリーベースでの食料国産率においても47%と、思った以上に上がってはおりません。 そもそも国内で用いられているこのカロリーベース、世界水準で用いられている値は生産額ベースであり、カロリーベースではありません。ちなみに、生産額ベースにおける我が国の食料国産率は69%でございます。改めるべきだと思います。 さて、奈良県においては、食料自給率に関連します農業産出額が47都道府県で低位にあるというゆゆしき事態に陥っており、大変危惧しております。内容としては、北海道が最上位、最下位は東京、これは何となく理解できます。46位が大阪というのも、西日本最大の都市圏なので、これも何となく理解はできます。しかし、問題は45位に奈良県が占位しているということにあります。なお、奈良県の農業産出額は395億円で、国内総産出額の0.44%というのが実態です。 農林業センサスによると、これを支える奈良県の主業農家数は、2010年で1,964戸、2015年で1,686戸、2020年で1,315戸に減少しており、近い将来、1,000戸を切る状況です。さらには、直近の2020年の農林業センサスによると、県内基幹的農業従事者においては60歳以上が総数の85%を占めており、状況挽回には極めて困難な状況にあります。 これまで農業は農家という個の生産体制でありましたが、これからの農業は農家の法人化を促し、小規模から中規模へ、農業法人を順次形成し、同時に、農業に対して企業が参入するという大規模農業も視野に入れた方針転換が必要になってくると推察されます。 そこで、奈良県の農業産出額が47都道府県中45位と低迷しており、同時に、農業従事者の減少が続いているだけでなく高齢化も進んでおり、危機的な状況に陥っています。奈良県の農業産出額の向上に向け、個の生産から組織化された農業への転換していく必要があると考えますが、今後どのように取り組んでいかれるのか、食と農の振興部長に伺います。 最後に、選挙管理委員会にお聞きします。 今年の夏、参議院議員選挙が行われ、投票率は52.05%、本県においては55.90%、私の選挙区である生駒市では60.51%という投票率でした。私も日本維新の会メンバーとして、その渦中にありました。前回の衆議院議員選挙においては選対本部長を担わせていただきましたが、今回は公営掲示板担当として任にあたっておりました。その際、一連の資料を並べた際に、あまりにもひどい状況だったので申し述べさせていただきます。 各市町村選挙管理委員会から出てきている公営ポスターがある場所を示している地図や住所などが記載された資料仕様がまちまちで、どれ一つ同じものはありませんでした。縦だったり横だったり、用紙サイズすら違う。そして、毎度のことですが、実際に設置されている掲示板箇所と地図で表示されている位置も違えば、時として記載されている住所も違っていたりしています。ひどいものになれば、地図も住所も実際の設置場所と違っている箇所がある状況です。 実際に何度かやっているとよくよく見えてくるのですが、掲示板が設置されている場所に危険な箇所があったりします。例えば足場の悪い場所での踏み台の使用、車道上にある掲示板などは、貼る際に転落や車との接触事故など、危険だとの声も実際に届いています。また、今回は選挙公示日前日に、ポスター掲示箇所の資料修正があると差し替えを求められる一幕もございました。ポスター掲示場に係る各資料の作成とその運用は各市町村選挙管理委員会に委ねられていることとは存じますが、統一性もなく、整合性においても問題が指摘されている状況です。 そこで、選挙管理委員会委員長にお伺いします。 選挙運動の安全を確保するためにも、危険な箇所に設置されているポスター掲示場については、設置場所の見直しが必要であると考えますが、所見を伺います。 また、ポスター掲示場の設置場所について、候補者への正確な位置情報の提供は、適切な選挙執行という観点からも必要であると考えます。位置情報を正確に提供する方法として、例えば電子地図等を活用したポスター掲示場の設置場所のデジタル化などが考えられます。今後の取組について所見を伺います。 以上にて、壇上よりの質問とさせていただきます。ご清聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(西川均) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) (登壇)15番佐藤議員のご質問がございました。 最初のご質問は、海上保安庁第五管区海上保安本部と本県の包括連携協定についてでございますが、まず、この奈良県議会で海上保安庁の予算の話が出るので驚きました。佐藤議員がご紹介になりました予算額は、それでも何十年か前の倍ぐらいになっているのです。伸びたのですけれど、それでもまだ少ないという感じでございます。そのようなご紹介があること自身、驚きました。ありがとうございました。 第五管区海上保安本部、五管と言っておりますが、海上における治安の維持、人命・財産の保護など、海の危機管理に関する業務を担っている部局でございます。 これまで、第五管区海上保安本部とは災害時の応援に関する申合せの締結をしておりました。いざというときは来てくださいねといったことを申し合わせておりました。今般、海上保安本部から、新たな相互連携強化の提案をいただきました。地域の安全・安心の確保、生涯良く学び続けられる地域づくり、また、相互の発展に資することを目的とした相互連携強化のご提案をいただいて、平常時からの連携を含めた包括連携協定を今年6月に締結したものでございます。奈良県のような海のない県と、海上保安庁が連携する時代が来たことは、感慨深く感じているところでございます。 海上保安庁は海の警察でございますので、陸のことは今までしておりませんでした。阪神・淡路大震災のとき、海上保安庁のヘリは無事だったのですが、偵察のため阪神・淡路の上空を飛ばなかったのです。これはおかしな話だと、その後、私が長官になり、本当に怒ったのです。どうして飛ばなかったのだと。すると、警察との協定で陸は遠慮してもらうということになっていたらしいのです。遠慮するなと言って、責任は取るからと言って叱咤激励して、山火事の撮影とか、今度の川の救難とか山の救難にも、ピックアップが優れておりましたので出てくれるようになりました。海上保安庁が出てくると、警察のヘリの技術も上がってまいりました。陸の上でも切磋琢磨が発生しているように最近感じております。 海の上での人身の事故は、陸の奈良県の人もたくさん海へ遊びに行かれますので、佐藤議員ご紹介のように、事故率が高いという結果が出ております。今回の包括連携協定により、奈良県は海上保安本部に対して、海上における安全の意識啓発、子ども・青少年教育及び生涯学習についても協力させていただくことができるようになりました。具体的には、海上における安全の意識啓発を図ることは、奈良県でも大きな意義がございます。この7月には、海の事故の緊急通報ダイヤルでございます118番を、奈良県公式LINEなどのSNSやデジタルサイネージなどを活用して周知したところでございます。 また、海上保安庁は、海上だけでなく山間部などでも、航空機による被災者の救助活動や救援物資の輸送等を実施することとされております。今回の包括連携協定において、奈良県が海上保安本部に協力していただくことは、災害時の応援、災害への備えについてでございます。 災害に関わり申し上げますと、五條市に整備を進めている大規模広域防災拠点を活用した連携内容についても、今後、協議することにしております。海上保安庁も航空機を持っております。具体的な利活用などのご意見を今、伺い始めたところでございます。 包括連携協定に基づく取組については既に進めておりますが、今後も引き続き、双方が幅広い分野で緊密に連携することにより、いつ起こるか分からない災害などに共に備えていきたいと考えております。川の災害にも、急ぐときは海上保安庁の船が川の災害からピックアップするということも十分考えられるわけでございますし、山の遭難にも、捜索が県警察のヘリコプターとともに出ていただくことも考えられることでございます。 二つ目のご質問でございますが、パークアンドライドを活用した観光振興についてのご指摘も踏まえたご質問がございました。 ぐるっとバスの運行最終時間など、いろいろな問題点もご指摘されまして、大変ありがたいことだと思っております。 奈良県のぐるっとバスのモデルは、金沢市のふらっとバスでございます。金沢市と奈良市は同じような人口でございますが、観光振興のために金沢市が運営しておりますふらっとバスは、100円バスでございますけれども、大変役に立っております。それを参考にしたわけでございますが、奈良県が奈良市域のバスを走らせることは、多少遠慮もございましたし、悲しい思いもございました。ただ、やり始めると、今のような、県議会でも応援のご質問をいただくことは感慨深く思っております。 と申しますのは、よい観光地にはバスのようなアクセスが欠かせません。修学旅行のみならず、アクセスは欠かせません。それと、食事と宿泊が3本セットで大事でございます。業界言葉でアクセス、食事、泊まりは、顎・足・枕と言っております。顎・足・枕がそろっていないと、よい観光地にならないよというのは業界で言われております。奈良県の観光は、顎・足・枕が三つともなかなか不十分なところが指摘されていたところでございますので、そのうちの足に当たりますアクセスについて、大変重要な点をご指摘になったと感じております。 本県を訪れていただく観光客の皆様に、安心して快適に観光地を巡っていただくための重要な要素でございます。県内はとりわけ観光地が点在しておりますし、山の上にも観光地がございます。観光ルートづくりと高齢化が進む中での良好なアクセス確保に向けて、これは奈良市だけでございませんが、地域公共交通の利用改善が必要だと日頃から考えております。昨年策定いたしました奈良県観光総合戦略におきましても、便利な交通・道路体系を施策の重要な柱として位置づけているところでございます。 ところで、奈良市を走っておりますぐるっとバスやパークアンドライドは、奈良中心市街地の観光シーズンの交通渋滞を緩和することを大きな目的にしております。これらの施策は、有識者や関係者から成る奈良中心市街地公共交通活性化協議会で議論を重ね、評価・改善を加えながら進めておりますが、佐藤議員のご指摘の点も大変重要だと思いますので、改善の大きな点にしたいと思います。 ぐるっとバスにつきましては、三つのルートがございます。大宮通りルート、奈良公園ルートの2系統に、若草山麓ルートを加えて再編成したもので、これも改善の一つでございます。また、大宮通りルートの折り返しを県庁前から奈良公園に延長・延伸することの見直しなどもしております。まだまだ不十分な点があるということを思っておりますが、令和3年には、平城宮跡で折り返しておりました大宮通りルートを、大和西大寺駅南口駅前広場が整備されましたので、大和西大寺駅まで乗り入れするようにいたしました。これは割と効果があったと思います。 木簡型一日乗車券につきましても販売しておりますが、令和2年からは、奈良県コンベンションセンターの開設に合わせまして、通年販売しております。 また、佐藤議員からご提案のあった、ぐるっとバスの最終便の取扱いや木簡型一日乗車券の販売場所の拡大など、運用面の課題につきましては改善を検討していきたいと思います。重要な指摘をいただいたと思います。出足について県としての遠慮が多少あった、遠慮してきたと気持ちの面で思っておりましたが、むしろ遠慮しないで大事なことをやれという趣旨でありましたら、予算も要りますけれども、もう少し頑張っていくべきかと、改めて思った次第でございます。 また、修学旅行の利用拡大も重要なポイントでございます。首都圏の学校や旅行代理店を対象にした本県への修学旅行誘致の活動の中で周知・広報に取り組んでおりますが、そのルートの拡大とか利用の拡大というのは、相変わらず奈良県がしてもいいのかと思ったりも時々するのですけれども、弾みをつけてしていきたいと思います。 また、奈良公園バスターミナルは、多くの方にご利用いただいておりますが、奈良公園観光の拠点施設として、重要な観光拠点になってきていることを実感しております。手探りで一つ一つ進めておりましたが、奈良県が奈良市内の観光のサービス改善に今まで取り組んだことがなかった面もありますので、バスにしろ、バスターミナルにしろ、やはり金沢市などに比べますと遅れていると思って走らせた面もございますので、このような議会の議論がございますと、顎・足・枕の足、顎も枕も奈良は遅れておりまして、それぞれ宿泊、サービス、またガストロノミーサービスとともに、アクセスのサービスも改善していきたいと思います。 県は、奈良市だけではなしに奈良県全体のことも考える必要がございますので、そのような観点から力を入れていけたらと思います。励ましていただきまして、ありがとうございました。 平城宮跡歴史公園南側地区の公園整備についてのご質問がございました。 大事なポイントだと思います。平城宮跡歴史公園南側地区は観光都市奈良のゲートウェイであります大宮通りと三条通りに面する広大な歴史空間として、非常に価値の高い場所だと思っております。この立地環境を生かしまして、訪れる人々が1300年の歴史を感じ、憩いくつろげる快適な公園として整備したいと思っております。 その概要でございますが、今年度検討を進めておりますが、計画地の東側部分、南側の大宮通りから南側の東の部分でございますが、朱雀大路をずっと下がってきております、その遺構に合わせて保全しながら、往時の平城京の広がりを体感できるエリアとする方針でございます。朱雀大路の西側部分だけになりますが、朱雀大路がこの通りまであったという復元をしたいと思います。朱雀大路の西側は、朱雀門や大極殿、若草山等の稜線への眺望が大変いい場所でございますので、展望デッキや、ゆっくりくつろげる飲食施設を整備できたらと思っています。 また、大変広い園内でございますので、周遊できるパークモビリティと言われます、公園の中、道路のない中を周遊できる運転手付電動カートなどの導入を検討しております。馬見丘陵公園で実験をしているものでございます。 今後、これらの考え方を整理いたしまして、12月議会でご報告した後、パブリックコメントを経て、今年度中に整備計画として取りまとめることができたらと思っております。 次に、駐車場についてのご質問がございました。 平城宮跡歴史公園にバスや自動車で来園される方が利用しやすく、接続する道路の交通にも影響が少ない構造となるように検討しております。具体的には、東西両方向からの進入が比較的スムーズに図れる三条通り沿いに入り口を設ける方針で今、検討を進めております。また、ここから周辺観光地を巡っていただけるよう、ぐるっとバスの停留所やシェアバイクの配置について検討していきたいと思います。引き続き、奈良公園バスターミナルの駐機場所としても有効利用していきたいと思っております。 平城宮跡歴史公園のエントランスエリアになりますので、国内外から多くの方々に訪れていただき、ここに一旦停止していただき、歴史を体感しながら、くつろげる快適な公園となるよう今後とも取組を進めていきたいと思っております。私に対する質問は以上でございました。ご質問、ご指摘、誠にありがとうございました。 ○副議長(西川均) 清水県土マネジメント部長。 ◎県土マネジメント部長(清水将之) (登壇)15番佐藤議員より私に対しまして、奈良県の歩道整備についてご質問いただきました。 本県では、良好な景観形成を図る箇所等での歩道の整備については、自然素材感のある舗装の整備を行い、視覚障害者誘導用ブロックの整備については、市町村が作成するバリアフリー基本構想に位置づけられた生活関連経路を優先的に整備しています。 佐藤議員お述べの大宮通りの歩道は、平城遷都1300年祭に合わせて、平成21年度に天然の豆砂利や小石を使用した自然色舗装及び視覚障害者誘導用ブロックの設置を行っており、約13年が経過した現在は、舗装面の豆砂利の剥離や、豆砂利の剥離の影響によるシート型の視覚障害者誘導用ブロックの剥がれなどの損傷が生じました。 このような状況を踏まえ、現在、著しく損傷している箇所については、順次、耐久性に考慮しつつ、土のような風合いに仕上げるアスファルトのカラー舗装に変更しており、令和3年度においては奈良市役所周辺の歩道で実施しております。 今後、歩道の舗装や視覚障害者誘導用ブロックの整備にあたっては、周辺の景観に配慮しつつ、歩道の利用状況や車両の乗り入れの状況等を踏まえ、耐久性に留意して、材料や仕様を適切に選択するよう努めてまいりたいと考えております。 なお、視覚障害者誘導用ブロックの設置箇所につきましては、国が策定した道路の移動等円滑化に関するガイドラインに基づき、施設間を連続的に誘導することを基本に整備を進めているところでございます。警告ブロックの優先的な設置につきましては、利用状況や視覚障害者団体等からのご意見も踏まえながら、適切に対応してまいりたいと考えております。 今後とも、誰もが安全で安心して利用できる歩行空間の管理に努めてまいります。以上でございます。 ○副議長(西川均) 乾食と農の振興部長。 ◎食と農の振興部長(乾新弥) (登壇)15番佐藤議員より私に対しまして、本県の農業産出額の向上に向けて、個の生産から組織化された農業への転換をしていく必要があると考えるが、今後どのように取り組んでいくかとのお尋ねがございました。お答えさせていただきます。 本県の耕地面積は約2万ヘクタールと、47都道府県中44位であり、また、高齢化等による農業の担い手の減少などによりまして、農業産出額も全国45位となっております。 このような中、限られた農地を有効活用し、農業産出額を向上させるには、意欲ある担い手を確保し、農業経営の収益向上を図る必要があり、中でも地域農業を牽引する農業法人や集落営農組織を育成していくことが重要であると考えております。 これまで県では、県内農家の収益向上や規模拡大を図るため、農林(農業)振興事務所による技術及び経営の支援や専門家による経営相談等を実施し、法人化も視野に入れた農業者の育成に取り組んでおります。その結果、県内農業法人数は、10年前の71法人が令和3年度には134法人に増加いたしました。 また、地域農業の担い手として集落営農組織を育成するため、研修会の開催や振興事務所によります組織化への指導・助言、さらには、組織の法人化への支援を行っております。県の調べでは、10年前の46組織から令和3年度には68組織となり、うち17組織が法人化されております。 しかしながら、これらの取組の過程で、農業法人で働く方の不足や優良農地の確保、集落営農組織の構成員の高齢化などの課題がより明確になってまいりました。 このような経緯から、県では平成30年度より、県独自の新たな取組として、特定農業振興ゾーンを設定し、国庫補助も十分活用しながら、区画の大規模化や高収益作物への転換・導入とともに、農業法人や集落営農組織などの育成に努めているところでございます。例えば、五條市や広陵町のゾーン地区では集落営農組織が立ち上がり、現在、法人化を進めているところでございます。成果が出るには当面、時間がかかるとは思いますが、農業への企業参入なども視野に入れつつ、いわゆるもうかる農業の実現に向けた取組も進めていく考えでございます。 今後とも、農業経営の規模拡大や法人化、集落営農組織の育成、特定農業振興ゾーンの取組などにより、現場の課題を一つ一つ解決しながら、本県のよりよい農業と農業産出額の向上につなげていきたいと考えております。以上でございます。ご質問ありがとうございます。 ○副議長(西川均) 森本選挙管理委員会委員長。 ◎選挙管理委員会委員長(森本俊一) (登壇)15番佐藤議員のご質問にお答えいたします。 私へのご質問は、選挙運動用ポスターの掲示場についてでございました。お答えいたします。 選挙運動用ポスターの掲示場の設置や管理、設置場所の情報提供につきましては、法令等におきまして、各市町村の選挙管理委員会が行うことになっております。 このうち、ポスター掲示場の設置場所については、公職選挙法第144条の2第3項において、公衆の見やすい場所に設置すると定められており、この規定に基づいて各市町村選挙管理委員会が適切な設置場所の確保に努めているところでございます。 県選挙管理委員会としましては、これまでから、本委員会が事務を管理する国政選挙等におきまして、駅や公共施設等を管理・所有する公共交通機関や団体などに対し、ポスター掲示場の設置場所の提供について協力を依頼するなど、各市町村選挙管理委員会の取組を支援してまいりました。 今後は、佐藤議員ご指摘の安全性への配慮につきましても、市町村選挙管理委員会に情報提供させていただき、適切な設置場所の確保を後押ししてまいります。 また、設置場所の情報の提供につきましても、県選挙管理委員会が事務を管理する選挙においては、設置場所の図面を市町村選挙管理委員会から収集し、各選挙区ごとに取りまとめた上で各候補者に提供するなどの便宜を図ってまいりました。 今後、ポスター掲示場の位置情報が正確ではないとの佐藤議員のご指摘についても、市町村選挙管理委員会に情報提供させていただき、適切な選挙の管理執行に努めてまいりたいと考えております。 なお、佐藤議員お述べの電子地図などを活用したポスター掲示場の設置場所のデジタル化につきましては、市町村の先進事例などについて研究し、情報の共有を図るなど、市町村選挙管理委員会の事務執行に資するよう検討したいと考えております。 県の選挙管理委員会としましては、引き続き市町村選挙管理委員会とも連携を強化し、ただいま申し上げた取組を進め、選挙の適切な管理執行に一層取り組んでまいる所存でございます。ご質問ありがとうございました。 ○副議長(西川均) 15番佐藤光紀議員。 ◆15番(佐藤光紀) ご答弁ありがとうございました。おおむね私の指摘点、これを真摯に受け止めていただき、そして提案も採用していただけるという答弁も数多くあったかと思います。今後は一緒に考えていく、交流をする場として委員会、また各種特別委員会もございますので、その席で話を随時させていただければと思います。 その中で知事、海上保安庁との連携協定というのは、これは正直申し上げまして、知事だからできたことだと私は思います。海上保安庁長官であったときの当時の部下の方がちょうど第五管区の本部長だったのですか、そういう形で話が進んだと。 今、盲点となっているのが、やはり内陸県の中で奈良県の方々が海難事故、もしくは通報先を知らないという状況を私は肌身に感じて、それを実感しているのですけれども、ここを改善するために知事は何が必要だと思われますか。 ○副議長(西川均) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) 先ほど佐藤議員おっしゃいました、第五管区は海上保安庁の、11ある管区の中でも大変伝統のある管区でございます。瀬戸内海を持っておりますのと、この紀伊半島の外壁を持っておりますので。瀬戸内海は海上交通路の大変難しいところがありますけれども、それも持っております。ところが、第三管区と第五管区というのは運輸省のキャリアが大体、本部長になるポストでございますが、後輩であります第五管区の本部長から提携の要請があって、びっくりいたしました。これはむしろ、先ほど申し上げました、阪神・淡路大震災から始まりましたように、海上保安庁も、特に津波など、空に浮かんでいるヘリコプターは無事だから、それを、飛んで空から偵察して、赤外線カメラで写真を撮って、状況を把握して官邸に送るということを最大の緊急ミッションにしたわけでございます。そのような緊急事態が関西で二度と起こらないように希望いたしますけれども。 奈良県で災害対策にも力を入れております中で提携しようというのと、もう一つは、五條市の滑走路、防災拠点ができますと、防災拠点の活用というのも海上保安庁は五管で5機しかヘリコプターと固定翼がないのですけれども、全国の飛行機が、関西空港あるいは神戸空港に集まるのですけれども、やはり通常の業務がありますので、防災拠点である五條市の2,000メートル滑走路に、いざというときには集結してくれることも考えられると思いますので、そのようなことも想定して、先々の話でございますけれども、提携を申し入れてくれたのかと思っております。 佐藤議員お述べになりました、いろいろな啓発から提携の内容をどうするか、陸の県と海の所管の国の組織でございますので、まだまだアイデアが伸びていないところもあるのでございますけれども、このように佐藤議員がこの奈良県議会でご質問されましたので、海上保安庁の本部にも、山のある県と海のない県との提携についてのアイデアがあれば教えてもらいたいと頼みに行きたいと思います。 またこれから、災害に対応するのはやはり総力戦でございますので、いろいろな部局が参加してくれるのはありがたいことだと思っております。そのような将来の助けになること、心強く思っております。今後とも、ご指導、佐藤議員からもいろいろアイデアを提供していただければと思っているところでございます。 ○副議長(西川均) 15番佐藤光紀議員。 ◆15番(佐藤光紀) ありがとうございます。 110番と119番は学校やふだん目にするポスターで普及啓発されているかと思いますが、海上保安庁というのは完全に盲点になっていました。支所がない、広報する場所がないということで、そこは県がてこ入れして、県民が118番を知らないという状況を改善していく必要があるかと思います。その点も踏まえて、もう時間がありませんので、知事室でお伺いさせていただきますので、また話ができればと思います。 また、パークアンドライドで、修学旅行生向けがなかったことに対して、この子たちがもし木簡切符を使って周遊していただけたら、その子たちが親を連れて来てくれる、また、先々、大人になったときに、奈良にはパークアンドライドがあるからといったことで、どんどん周知が広がっていくと思うのです。そういう点で、今まで修学旅行生に販売していなかったところについては早急に改めて下さい。また、知事がよく言われている、来て帰るだけではなくて、周遊していただく、滞在時間を長くしていただくためには、実はこの木簡切符、物すごく役に立っていまして、私としては、10時から入って夕方4時は早過ぎるというのが実感でございます。 実際に木簡切符を修学旅行生に渡すことによって、宿泊するときに補助金を出すシステムが今あるかと思いますけれども、逆に泊まらないと結構時間がかかるよといういい流れができるかと思いますので、今後、知事の下、これを統括していただきたいかと思います。 そして、清水県土マネジメント部長については、転勤されてすぐにこのような質問をさせてもらって申し訳ないのですけれども、やはり奈良県が持っている過去の事例も踏まえて、直さなければいけないところが多々あるのです。それは大宮通りだけではなくて、私の生駒市にも玉砂利仕様を採用して、じゃりじゃりになって、自転車のハンドルを切ったら、ずるっといきそうなところも多々ございます。こういったところも十分注意していただきたい。また、交通量が多いところに警告ブロックが入っていない箇所も結構ございます。ですから、選択と集中と奈良はよく言うのですけれども、そういう観点で、まずは警告ブロックを先に設置する。 例えば誘導ブロック、これは正直な話、バリアフリー化も関わってくると思うのです。斜めのところにサンドクッションを挟み込んでの点字ブロックになってくると、どうしても点荷重になって割れてくるという現象が出てきます。バリアフリーをしてから点字ブロックの誘導部をつけるとか、手順であるとか、改善の仕方も今後、重要な指標になってくるかと思いますので、この点に合わせても、県民が安全に道路横断であるとか、踏切があるぞということを認識していただけるように配慮していただければと思います。 また、乾食と農の振興部長に、これは何度か話をさせていただいている点ですけれども、45位から44位に上がるのは本当に難しいと思います。状況としては、今回で395億円の0.44%という数字を述べさせていただきましたけれども、つい先日まで、実は403億円の総生産額の0.45%というのが私の調べた数字だったのです。それが、速報値が出ましたということで、担当部署長と打合せの中で分かったことは、395億円、0.45%が0.44%に落ちてしまっていると。状況は刻一刻と悪い方向にいっています。 また、60歳以上の農業従事者が85%と申し上げましたけれども、これが20年から30年かかってくると、非常に危うい状況になってくるかと思いますので、今の農業という体制を体質改善しないといけないと思うのですけれども、この点については、食と農の振興部長、いかがお考えですか。 ○副議長(西川均) 乾食と農の振興部長。 ◎食と農の振興部長(乾新弥) 今、佐藤議員お述べのとおり、奈良県の特徴といたしまして、小規模な稲作を中心とした兼業農家の方が多くいらっしゃいまして、今の状況ですと、何とか農業・農地を維持されているのですけれども、佐藤議員お述べのように、今後20年、30年たっていきますと、世代交代、高齢化が進んでいきますので、農地を維持していくのが非常に難しくなっていくと思ってございます。 そのような観点からいきますと、やはり先ほど申し上げましたように、管理できない農地は有力な意欲ある担い手に集約していく、また法人化して守っていくということが非常に重要であると思っています。その中で、やはりもうからないと維持・発展できませんので、稲作から高収益作物についての移行も進めていきたいと思っているところでございます。 まずは今まで個でやっていた農業から、集団的なり、組織的なり、法人化なりを進めていきたいと思って取り組んでいるところでございます。以上でございます。 ○副議長(西川均) 15番佐藤光紀議員。 ◆15番(佐藤光紀) ありがとうございます。 相当危機的な状況だと思いますので、国がやらなくても県がやるというぐらいの姿勢を示していただかないと。今、補助金など全部調べさせていただきましたけれども、国が出すから県が取りまとめて市町村がやるみたいな流れも正直あります。その中で、国が補助金を出さなければ、奈良県としては非常に農業に苦戦するわけですから、そこにてこ入れしていかないと、国にも求めていかないといけない状況だと思いますので、よろしくお願いいたします。 経済労働委員会副委員長をやっていますので、また質問させていただきたいと思います。 また、選挙管理委員長、出席していただいて、ありがとうございます。 将来的には、バーチャル掲示板のような制度改正が必要ですけれども、必要になってくるかと思いますので、デジタル化という方向性に切っていただくようにお願い申し上げ、私の質問とさせていただきます。ありがとうございました。   -------------------------------- ○副議長(西川均) 5番山中益敏議員。 ◆5番(山中益敏) 明、9月27日は本会議を開かず、9月28日、会議を再開することとして、本日はこれをもって散会されんことの動議を提出します。 ○副議長(西川均) お諮りします。 5番山中益敏議員のただいまの動議のとおり決することに、ご異議ありませんか。     (「異議なし」の声起こる) ○副議長(西川均) それでは、さように決し、次回、9月28日の日程は当局に対する代表質問及び一般質問とすることとし、本日はこれをもって散会します。 △午後4時53分散会...